デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

りりィ×優作×オールド・クロウ。 処刑遊戯

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「美味しい。バーボンって初めてだけど。・・OLD・・CROW?」

松田優作で1本というご無体な質問があれば、迷わず「野獣死すべし」ですが、2本選んでいいならかなりの確率でこれ。

「処刑遊戯」(1979年/村川透監督)


遊戯シリーズ最終章。前作まで(「最も危険な遊戯」「殺人遊戯」)の特徴だったコミカルな要素(探偵物語に継承)を徹底排除。

行きずりの女(りりィ)を人質にとられ、組織を追われた殺し屋の暗殺を請け負った鳴海昌平(優作)。

台詞は極限まで切削。ドラマが成立する分水嶺一歩手前の綱渡り。触れれば切れるハードボイルドです。

設定や展開としてのリアリティなぞビタ一文ありませんが、リアリティなんてものはグラスに注がれたオールド・クロウ(私生活でも優作愛飲)の中にあればそれで十分です。

二人目のターゲットとなるのがトビー門口で、警視庁に拘留中という設定なのですが、この人、公開時、拳銃不法所持で本当に拘留されておりました。劇場で「リアルだなぁ」と感心した覚えがあります(笑)。

で、トビーさんが参加したせいか、ガン・アクションは格段に進歩。トレード・マークの44をオートマチックに持ち替えて長回しな銃撃戦を展開しております。

マメなマガジン・チェンジはリアルですが、バレル・スライドをしないのは当時のステージ・ガンの構造上の宿命でしょうか。

私は、「いや、優作はきちんと発砲数を計算していて、マガジンは空だがバレルには一発残っている状態の時にマガジン・チェンジをしているから初弾バレル装填の必要はないんだ」と脳内補完しながら観ておりましたが・・。

優作が途中何度か訪れる時計屋の主人・森下愛子が実に癒し系でいい感じでした。

『そんなに簡単に男の人に声掛けちゃ駄目だよ。最も危険が危ないよ』

この年、村川監督は、本作と「蘇える金狼」「白昼の死角」「探偵物語(TV)」「西部警察(TV)」と八面六臂の大活躍。思えばこの頃がこの人のピークだったのかも(しみじみ)。

※参考:「追悼:佐藤慶。 野獣死すべし」→2010年5月7日