監督は自身のフィルモグラフィの中で本作をあまり評価していない(むしろ嫌っている)ようなのですが、味わい深いサイコ・スリラーだと思います。
「わたしは目撃者」(1971年/ダリオ・アルジェント監督)
染色体異常に絡む連続殺人事件を、盲目の元新聞記者と姪の少女、そして現役の新聞記者が追う“自主的に巻き込まれちゃうぞ型”サスペンス。
まとまりがなくとっちらかった脚本は二作目にしてアルジェント印と言える出来栄え(?)ですが、処女作「歓びの毒牙」に比べると演出に余裕が。
二台の爆走車(新聞記者の乗る車と警察の尾行車)のためになかなか横断歩道を渡れず、結局諦めてしまう老夫婦とか、本筋と関係のないユーモラスな描写が目立ちます。
「そういう計算されたヒッチコック演出はいらねぇよ」とも思いますが、列車に顔面から激突し(写真下)、そのまま線路とホームの間をローリング、なんていう“らしい”描写もあるので、アルジェントなりのバランス感覚なのでしょう。
幼い姪っ子を演じた子役のチンツィア・デ・カロリスは、9年後、「地獄の謝肉祭」でジョン・サクスンを誘惑してお腹を齧られちゃうムチムチお姉さんに成長しております。
あの可愛い少女が、ムチムチお姉さんに・・いや感慨深い。
日本公開時の併映は「盲目(めくら)ガンマン」。なんと盲目二本立て。キャッチ・コピーは「凄いめくらがやってきた!」
放送禁止用語乱れ撃ち。アシッド70`s。
※参考:「腹に穴、ねずみ火ダルマ、地下水道。地獄の謝肉祭」
→2010年8月4日
「全部ある。歓びの毒牙」→2010年9月9日