冒頭、その他大勢クレジットの中に“小林幸子”の文字発見。
よくある名前だし同姓同名の人がいたんだろ、と思っていたら、今の小林幸子と同じ顔の少女(推定14歳)が。
芸歴長いんだなぁ、この人。
「ある殺し屋」(1967年/森一生監督)
クール・ビューティ市川雷蔵の現代劇。
表の顔は小料理屋の店長兼板前。裏の顔は冷徹な殺し屋。
得物が針(延髄一撃)な事から、藤枝梅安の原型と言われるフィルム・ノワールです。
時間軸をいぢくりまくった増村保造の脚本と名カメラマン宮川一夫の映像が冴える冴える。
危機を危機とも思わぬ雷蔵の冷静沈着さと、行き当たりばったりの対応(野川“ビッチ”由美子の押しかけを許し、成田“若造”三樹夫が持ってきたヤマにホイホイ乗り・・)がなんともチグハグで「お前、本当にプロなんかい?!」と突っ込みを入れたくなりますが、“終戦と共に生きる目的 を喪失した”と考えれば何となく納得できます。
時折挟まれる戦争の記憶、特攻仲間との記念写真。
生き残ってしまった事への悔恨が、雷蔵を捨て鉢にさせている(なるようにしかならない、という諦観から流れに抗わず身を任せている)のではないでしょうか。
宮川一夫が切り取る昭和42年の風景、家並み、墓地裏の木賃宿、車・・滴るような美しさです。
この頃の車のデザインってかっちょ良かったんですねえ。いつから今の様な温かみの無い無機質なデザインになったんでしょ。
※参考:「クール・ビューティ市川雷蔵。 陸軍中野学校」→2008年10月1日