模型と分かっていても、46cm主砲塔が轟音あげた時は戦慄にも似た衝撃が走りました。
大砲には男の初期衝動を刺激する熱いサムシングがあります(元も子もない言い方をすれば射精のメタファーなのでしょう)。
「連合艦隊」(1981年/松林宗恵監督)
山本五十六(小林桂樹)の怒号「勘弁で済むか!」に耳をふさいで結ばれた日独伊三国同盟から、
小沢機動部隊長官(丹波哲郎)の「そんな浪花節は聞きたくない!」を無視して決行された大和の水上特攻まで。
芸達者揃いの軍令部に対し、本来の主役である市井の若者が全く光っていないのが残念。
特に金田賢一&小手川祐子の“太陽にほえろ・西部警察連合軍”が演技以前。デビュー間もない中井貴一も(今だって芝居が浮いているのに)硬いわぎこちないわ。
見所はやはり戦艦大和。
5年の歳月と造船技術の粋を凝らしながら、出来た時には時代の後塵を拝し、最後の花道が水上特攻という悲運の象徴。
石川島播磨造船所で作られた縮尺1/20の模型が素晴らしい。
多くの人がラストの大和炎上~その頭上を行く特攻隊機に乗る中井貴一の「たとえ僅かでも親より長く生きる事がせめてもの親孝行です」を泣きのポイントとして挙げていますが、私のツボは瑞鶴少年飛行兵のこの台詞。
「私たちは発艦することは出来ても着艦することは出来ません。ですから出撃したら二度と帰ってきません。敵艦に体当たりします。折角、整備してくださった大事なゼロ戦を壊してしまいますけど、許してください!」
役者の名前は知りませんが、金田くんより遥かに光っていました。
どうでもいい事ですが、「トップをねらえ!」の「提案します!~他にどんな作戦があると言うんですか? ありはしませんよ!」というコーチの台詞の元ネタは本作だったんですね。
※参考:「人間魚雷回天」→2009年8月15日