デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

自粛は封印の一里塚? ウルトラセブン/超兵器R1号

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『地球を守るためなら何をしてもいいんですか?!』
『忘れるなダン、地球は狙われているんだ、だから』
『超兵器が必要なんですね?』
『そうだ』
『相手は もっと強力な兵器を作りますよ』
『なら我々はもっともっと強力な兵器を作ればいいじゃないか』

『それは…を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ』

記憶に頼って書いているので、正確ではありませんが、恒星弾道核ミサイル超兵器R1号に関するダンとフルハシの会話は概ねこんな感じだったと思います。

核開発競争を戒めるシリーズ屈指の名作、そしてテレビ史上に残る名台詞・・が、震災の影響でCS放送自粛となりました。

気持ちは分からなくもないですが、何か間違っとりゃせんか?(取り上げるタイミングが遅くなりましたが、捨て置く訳にも)

ウルトラセブン/第26話・超兵器R1号」

(1968年3月31日初放送/鈴木俊継監督)

 

R1号の実験場に選ばれたのは生物のいないギエロン星。

実験は成功。ギエロン星は一瞬で塵も残さず消え去った・・かに見えました。

直後、レーダーはギエロン星から真っ直ぐ地球に飛んでくる謎の飛行物隊を補足。

それは、放射能で変異したギエロン星獣でした。

地球に降り立ち、口から死の灰を撒き散らして帝都へ向かうギエロン星獣

ウルトラ警備隊の攻撃に一旦は木っ端微塵に。

「汚染区域は完全に封鎖しました」byキリヤマ隊長(←多分ここの描写がアウト)

しかし、星獣は復活。科学者は更に強力なR2号の開発に着手・・。

この回の真に凄い所はラストカットのハツカネズミでしょう。

死の灰を浴びたダンのうわ言(血を吐きながら続けるマラソン)で眼から鱗の落ちた参謀と科学者はR2号の開発中止を進言・・意識を取り戻したダンは破顔一笑、音楽も爽やかに鳴り響きハッピーエンドを匂わせますが、ダンが1人になるや急に暗く転調。

ダンの傍らには、小さいリングの中を一心不乱に走り続けるハツカネズミが・・。

本人は前に進んでいるつもりでも、実は一歩も前進していないネズミが象徴するものは、申すまでもありません。

今こそ放送すべき作品だと思うのですが・・実に残念な放送自粛でした。

テレビ東京が7月6日から、歴代ウルトラマンの傑作をピックアップする「ウルトラマン列伝」を放送するそうですが、セブン12話に加えて本作も自粛なんでしょうね。

このままなし崩しに欠番にならない事を切に祈って止みません。

※参考:「ウルトラセブン/遊星より愛をこめて」→2011年3月13日