
「かの男は、天の逆手を打ちてなむのろひをるなる。むくつけきこと、人ののろひごとは、おふものにやあらむ、おはぬものにやあらむ」
(かの男は、天の逆手を打って、女に呪いをかけているという。不気味なことである。人の呪いごとは、降りかかるものか。降りかからぬものか)
伊勢物語 九十六 天の逆手より。
家族に放った呪いは家を包み、家は触れた者全てに呪いを返す。
「劇場版 ほんとうにあった怖い話~変な間取り~」(2024年/寺西涼監督)
ひっでータイトルです。「事故物件 恐い間取り」(2020年)に便乗したんでしょうが、内容にかすりもしていません。
DVDのジャケットデザインも最低で売る気ゼロ。上出来ホラーなのに勿体ない。
お話は同じ家を舞台にした3幕モノ。
時間軸は2002年、2023年、2018年。
1幕目2002年「禁じられた部屋」
姉の誕生祝いのバーベキュー会場にと貸別荘(の看板が出ていますが単に築年数の経った住宅街の民家)を予約した妹(全編ホームビデオ風POV)。
2階部分は4部屋ですが、内1部屋はガムテで厳重に目止め(封印)が施されておりました。
庭でバーベキューを始める姉妹。ビデオカメラがちょっと仰角になった瞬間(この時、姉は妹に「あ~ん」してもらっているのでカメラを覗いていない)。
夜、姉が妹の寝込みをドッキリ撮影しようとしたら…
『え、誰!?』

2幕目2023年「話し相手」
1幕目と同じ家を購入した森川亮太。この家で幸せな家庭を築くはずでしたが…(再現ドラマ風)。
「ただいま」と呼び掛けても応える声は無し。孤独を紛らわそうとみすずと名付けた携帯アプリのAIと会話を始め…。
現実か幻覚か分からない妻みすずと一人娘ちはる。ちはるの描いた家族の絵には遼太とはまるで似ていない男。添え書きされていたのは「いいパパ」。

何の説明もありませんが、娘の姿が…。

え、何で!?
3幕目2018年「林に埋まった映像」
林道に埋められていたビニール袋に入っていた一眼レフカメラとハードディスク。その中に収められていた映像(「ブレアウィッチ」風POV)。
超常現象の検証映像をウリにしているWEBチャンネル製作者の元に届いた調査依頼。調査対象は”あの家”。
依頼者は家の持ち主。
かつてあの家には依頼者の兄家族が住んでいたのですが、一家心中で亡くなり、今は弟のKさんが管理を。
第3幕が家の謎に迫る「種明かし」編で、これまでの点と点が線で繋がる作りになっています。オチ故に少々エンタメに走っている感はありますが、いい感じにまとまっていたと思います(第3幕が最新ではなく、第2幕が最新の時間軸というのがミソ)。
今回、小道具として面白かったのは「天(あま)の逆手(さかて)」。
伊勢物語にも登場する呪いの儀式。手の甲と甲で打つ拍手。
“はくしゅ”と読むとパチパチパチを連想しちゃいますが、意味合いとしては“かしわで”。二礼二拍手一礼の時の拍手ですね。
推理ホラーという立ち位置になると思いますが、要所要所に『え、ちょっと今の何!?』なカットが挟まれており、夜中に一人で観たら結構ビビるんじゃないかと思います。
「変な家」「恐い間取り」のバッタモンだと思って手控えている方は、手を伸ばしてみることをお勧めします。
まあ、このジャケ👇見て手を出す人は少ないと思いますが…。

★恐い間取りはこちら。
★家モノ一番は誰が何と言おうと「ヘルハウス」ですが、本作に雰囲気が近いと言えなくもないかもしれないと思わなくもないのが、
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