家族が皆外出した後、コーヒー片手に庭に出ると、テーブルは錆びて倒れ、片付けられることのないゴムホースがうねうねと色あせた人工芝の上を這い…。
立ったままコーヒーを啜った刑事は再び捜査へ。
いいですね、このやさぐれ感。
「マシンガン・パニック/笑う警官」
(1973年/スチュアート・ローゼンバーグ監督)
夜のサンフランシスコで起きたバス乱射事件。
最後部座席からの機銃掃射で車内は瞬時に阿鼻叫喚の地獄絵図(漢字まみれだ)。
折り重なった死体の中に同僚(相棒)の刑事を発見したマーティン(ウォルター・マッソー)は執念の捜査を開始。
凶器は字幕では“短機関銃”ですが、台詞では“Grease Gun”。
正式名称は“M3サブマシンガン”。潤滑油(Grease)を差す工具に形が似ていた事から別名グリースガン。
分解してバッグに詰めて、車窓を眺めつつ、コキコキと組み立てたら、7発/秒のフルオートで蜂の巣祭り。
新しい相棒レオ(ブルース・ダーン)と組んだマーティンは、事件の背後に迷宮入りしたある殺人事件の匂いを嗅ぎ取り・・。
最初ソリの会わなかったマーティンとレオが足並み揃えてからの捜査(聞き込み)シーンが“太陽にほえろ”でいい感じ(景気のいい音楽+歩き回る刑事のコラージュ)。
原作はスウェーデン人シューヴァル&ヴァールーの<マルティン・ベック>シリーズ「笑う警官」。舞台をサンフランシスコに移しての翻案です。
原作者イチオシの本家「刑事マルティン・ベック」(「唾棄すべき男」)と比べてみるのも一興。
※参考:「変態監督見っけ。刑事マルティン・ベック」→2010年1月8日