『リングの上で、世界一の男が俺を待ってる。だから、行かなきゃな』
出崎統監督がお亡くなりになりました。
4月17日午前0時35分、肺がん。67歳。
止め絵、反復、光るゲ□…俺ジナルな数々の演出技法は記憶の襞に刷り込まれまくっています。
思い入れは人それぞれだと思いますが、やはり私は「あしたのジョー」。
中でも「2」の第25話「第6ラウンド…奇跡が起こった」は、My号泣トップ3の1本。
闘うコンピュータ、金龍飛の「満腹ボクサー」という一言に、「飢えのために父親を石で殴り殺した」という壮絶過去にこっぴどいトラウマを植え付けられ、勝てるわけがないと委縮してしまったジョー。
嬲り殺しの必殺技“舞々(チョムチョム)”を浴びて満身創痍。しかし、倒れない。倒れても立ち上がる。何故? たまらずリングに駆け寄る白木葉子。
『何故タオルを投げないのですか、丹下会長! 力石徹を忘れたの?』
『…力石か…力石と同じ道か。そうだよ、力石も飢えてたんだ。(中略)そして、そしてよ、金。お前さんは喰えなかった。だが力石は違う。自分の意思で飲まなかった、喰わなかった。そうよ、自ら地獄に入り、それを克服した男がいたんだ。力石徹がよ。しかも、力石はな、お前みたいに自分の地獄を人前でひけらかすような真似はしなかったぜ。力石はその苦しみに心底耐えて、俺との奇妙な友情を守って死んで行ったんだ。力石、力石、力石、俺はそんな俺の力石徹のために、お前なんかに負けるわけにはいかないんだぁ!』
改めて観ると、全編出崎魂炸裂しまくりの回でした。
ご冥福をお祈りいたします。
※参考:「小池朝雄の子守唄。あしたのジョー[最終話→第1話]」→2010年11月24日