デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

凄めば凄むほどヤクザコントに・・。 アウトレイジ

イメージ 1


本物のやくざ屋さんに知り合いはいないので、リアルな恫喝というものを聞いた事は無いのですが、これは・・。

凄めは凄むほどヤクザコントに。

もし、これを“怖い演技”だと思っているとしたら笑止千万ですが、ギャグとして狙っていたとすれば天晴れです。

アウトレイジ(2010年/北野武監督)

朝に裏切り、昼に仕返し、お休み前に寝返って。

親分の言に弄されてバタバタと自滅していく“現場はつらいよ”なストーリーは出涸らしで凡庸。

ただ、描写が痛い。殴る蹴る以外のリアルな痛みを追求しているのが北野作品としては新機軸でしょうか。

カッターで指詰め強要、カッターで顔面タスキがけ、歯医者のドリルで歯茎グリグリ(写真下)、耳に菜箸、舌に掌底・・。

そこだけ、ちょっと三池っぽいです。

役者も三池組大量投入。特に“全日本痛い痛い映画”として世界にその名を轟かせた「オーディション」から、椎名英姫、國村準、石橋蓮司小日向文世が参戦。

やたら嬉しそうに暴力を振るう椎名桔平(新宿黒社会!)がいい感じ。

フェイド・アウトによる繋ぎはベルイマンの「叫びとささやき」を思わせます(意識しているとしたら実に北野らしい引用)。

登場人物が多いので、相関関係を分かりやすくするために敢えてシンプルな構成にしたのだと思いますが、それでもややとっ散らかり気味(の割りにはキャラの心情描写は無いのでのっぺりした印象が残る)。

続編があるようなので、是非、ヤクザという記号を煮〆て漬け込んだコッテコテの暴力コントを極めてください。

※参考:「椎名英姫万歳!(きりきりきりぃ)。オーディション」→2010年11月25日