『男の人生は真夜中のスナックや。例えば2時に、何でか次のスナックにハシゴする男の気持ちが分かるか? 2時でぇ、2時。次行く店は絶対ここよりロクでもないき。けんどやっぱりワシという男をここで終わりにする訳にはいかんがよ』
ここには2種類の人間しかいません。
どこまでも駄目な男と、とことん男運の悪い女。
『どんな恋でも、ないよりマシじゃき』
そう、どんな恋でも…。
「パーマネント野ばら」
(2010年/吉田大八監督)
高知の漁村。町のおばさんのパンチ・パーマを一手に引き受けるパーマネント野ばら。
離婚して一人娘と共に出戻ったなおこ(菅野美穂)、幼馴染のみっちゃん(小池栄子)、ともちゃん(池脇千鶴←え、エライこと太ったが役作りか?)。
最悪の男運をものともせず逞しく生きる女たち。
西原理恵子の漫画には「できるかな」シリーズのような全方位ノーブレーキなギャグ路線と「ぼくんち」のようなしっとり系人情噺路線(すれ違いざまに辻斬りのように涙をカツアゲていく卑怯系含む)がありますが、本作は後者。
みんな呆れ返るくらい駄目で、学習って何?な人ばかりなのに誰も突き放さない。
傷を舐めあっているとも言えますが、いいじゃないですか、舐めあったって。
高校教師カシマ(江口洋介)との愛を育むなおこ。でもこの恋にはある秘密が。
その秘密は皆が知っている。知っていて誰も諌めない、突っ込まない。だから切ないオチにも救いがある。
監督の前作「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は10分でリタイアだったので、原作と脚本(奥寺佐渡子@「時をかける少女」「サマー・ウォーズ」)が良いのでしょう。
女優陣は皆芸達者ですが、小池栄子のワン&オンリーな存在感を称えておきます。
『私らず~っと世間様の注文した女やってきたんよ、これからは好きにさせてもらお』