「古都」(1980)を最後に芸能界を引退、人妻となった山口百恵。後に残ったのは相手役・三浦友和。
さて、この男をどうしよう。文芸大作で百恵の相手という優男ポジションはもう使えない。いっそ、今までの真逆を行くハードボイルド路線はどうだろう。
三浦友和ケダモノ化計画。その結末は…。
「獣たちの熱い眠り」(1981年/村川透監督)
村川監督作としては「野獣死すべし」の翌年(そして「凶弾」の前年)。絶頂期ととるか没落直前ととるか微妙なところです。
プロテニスプレーヤー三村(三浦。ややこしいので以下三浦で通します)は、仕事先の長崎で行きずりの女と一発(ケダモノ化計画なので、据え膳喰いますどこまでも)。
ところが後日、この時の写真をネタに恐喝者が来訪、3千万の支払いを要求…してきたのですが、逆に相手をボコボコにしてしまう三浦(ケダモノ化計画なので…以下略)。
濡れ場写真をレイプ記事としてリークされた三浦は選手生命赤信号。舐めやがって、見ていろ、今度は俺が攻める番だ!
一介のテニスプレーヤーが単身犯罪組織(政治家を頂点に警察も抱きこんでいる)に立ち向かうという図式は如何なものかと思いますが、アメリカでは一介の消防士が国際的テロリスト集団を殲滅したり、一介の民間警備員が悪魔と闘ったりしているので、まあ、問題無いでしょう。
出てくるたびに三浦にボコられ、どんどん悲惨な姿に。
腕を折られる→ギプス→銛で脚を刺される→松葉杖→車に轢かれる→車椅子という三段逆スライド・トラジディ。
その度に『ひどいじゃないですか、三村さん』と懐っこい笑顔で再登場。爽快感の無いドラマの中で一服の清涼剤となっていました。
三浦友和ケダモノ化計画はこの時点では成功しているとは言い難いですが、翌年には「西部警察PARTⅡ」沖田刑事役が待っています。
私は50過ぎてからの「善人演っても悪人演ってもすっとぼけている」感じが結構好きです。