『選ばせてやる。今すぐ死にたいか? あるいは僅かな望みに賭けてみるか? 今すぐならまばたきしろ。嫌なら目ずっと開けとけ』
選ばせているようで選ばせていません(笑)。
引退しても悪魔は悪魔。悪魔の通り名は、
「なで肩の狐」(1999年/渡辺武監督)
足を洗って堅気(バーテン。ヒモとも言う)になった狐(椎名桔平。本名は木常)の前に現れた昔の仲間、徳光(哀川翔)。
何も聞かずにあるモノを預かってほしい。ヤバイ匂いしかしない頼み事。
徳光は組の代行・笹山(鶴見辰吾。愛称は狸)がコカインの新規ルート開拓のために用意していた現金2億をガメてトンヅラこいていました。
渡邉監督はこの翌年、松方弘樹主演で「引退して堅気になったけど殺る時ゃ殺るぜ」シリーズ(笑)「殺し屋PAZUZU」(渡辺監督と辻裕之によるオリジナル脚本)を撮っておりますが、本作の構造は工藤栄一監督の「ヨコハマBJブルース」(1981)そのまま。
なので本作は「殺し屋PAZUZU」のプロトタイプと言うよりは、原作者・花村萬月版「ヨコハマBJブルース」と見るが吉でしょう(余談ですがどなたか花村萬月の「ブルース」を映像化してくれないでしょうか)。
1999年と言えば椎名桔平は「不夜城」翌年、哀川翔は「DEAD OR ALIVE 犯罪者」(←鶴見辰吾も怪演)同年。一応ヒロインポジになる洞口依子はこの年「富江tomie」「カリスマ」「呪怨」。皆脂ノリノリです。
個人的には不運を煮〆た「ついてない奴」光石研(若い!)がいい感じでした。
諸般の事情で誰とは言えませんが、本作にやたら近しい知人が出ておりました。妙な気分でございます。
にしても劇場ポスター(タイトル写真左)と円盤ジャケ(タイトル写真右)は印象がかすりもしませんね。
桔平ファンの呼び込みと、Vシネファンの釣り、目的が違うとデザインも変わる好例ではないでしょうか。
★ご参考
★本日8月24日は今敏監督(1963~2010)の命日。
個人的には「心地良い」と「気持ち悪い」の振れ幅の大きい監督さんでした。
まずは「心地良い」編
続いて「気持ち悪い」編
★もうおひとり、本日はリチャード・アッテンボロー(1923~2014)の命日。
演じて良し、監督して良しの人でしたが、本日は役者として光っていたこちらを。