デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

そ、そのTシャツは! サンゲリア

イメージ 1

会社の近くにある爆安居酒屋で1杯100円の生ビールを煽っていたら、お店のお兄さんが見覚えのあるデザインのTシャツを着ておりました。

『はうあ! そ、それはブルーアンダーグラウンド版DVDジャケット・デザインのサンゲリア!』

まあ、人から貰った、偶然拾った、カツアゲた等の理由もあり得るので、それだけで“こっち側の人”と決めつける訳にはいきませんが、最高の肴にはなりました。

レビュー済み作品ですが、嬉しかったので改めて。

 

サンゲリア
(1979年/ルチオ・フルチ監督)


ロメロの本家ゾンビに拮抗しうる数少ないゾンビ映画ではないでしょうか。

サンゲリアと言えば、“サメ対ゾンビ”とか“眼球木片弔刺し”のようなインパクトあり過ぎ描写に目が行ってしまいますが、細かい所もよく練られています(←辻褄が合っているという意味ではない)。

ゾンビ映画のキモは最初の1体をどう出すかに尽きると思います。

「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」の遠目にぎくしゃくと歩いている老紳士(しかも墓地)。この、ふと視界をよぎる感じが何かを予感させて素敵です。

ニューヨークの湾内で蛇行を繰り返す無人のクルーザー。警察が乗り込んで調べると足元に切断された(正確には喰いちぎられた)人間の手首が。

次の瞬間、奥のドアをぶち破ってデブゾンビ登場。若手警官の喉笛にファースト・バイト!

自由の女神、摩天楼を背景に甲板に現われるデブゾンビ。見事な構図です。

また、本作は旧来型ヴードゥー・ゾンビとロメロ型近代ゾンビの折衷型になっており、新旧ゾンビの架け橋的役割も果たしています。

そして、ラスト。粛々とニューヨークに向かって行進するゾンビの群れは実に詩的。

眼球串刺し女の周りを車座に囲んで、思い思いの部位を千切って食べる“地獄の女体盛り”などお約束シーンもふんだんなイタリアン・ゾンビの金字塔です。