デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

フルチなのにマトモ。 マッキラー

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本当にフルチが撮ったのか?と一瞬目を疑うくらいマトモ。

 

7980年の「サンゲリア」「地獄の門」「ビヨンド」がフルチだと思っていましたが、何という破綻の無い展開、筋の通ったプロット(いや、あくまで“フルチにしては”ですよ)。

 

サスペリアPart2」に先駆ける事3年。フルチ・ジャーロの秀作です。

 

「マッキラー」1972年/ルチオ・フルチ監督)

 

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タイトルだけ見ると死体に群がる蝿を追い払う殺虫剤の話かしらと思うかもしれませんが違います。

 

イタリアの田舎町。ぶっとい高速道路に貫かれていますが、町には因習と迷信が満ち溢れ(町はずれの荒地には絶大な信頼を集める呪術師が)。

 

続けざまに発見された少年3人の変死体。

 

智恵遅れのおっさんの復讐か、ジプシー女の呪いか。


近代捜査を進める警察。容疑者に対し容赦ない殺意を向ける住民。

 

ひとつの町に同居する近代(警察、道路)と前近代(呪術、私刑)の対比が面白い。

 

3人の少年に呪いをかけたジプシー女(←この女の名前がマッキラー)が住民の私刑に遭い、荒地を這いながら道路の縁までたどり着くも、その一線を越えられず走り去る車の中に広がる家族団らんを目に焼き付けながら息絶えるシーンの哀しさ・美しさにはちょっと泣きそうになりました。


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本作はオカルトものではないので、当然、真犯人が別におり、更なる犠牲者(勿論少年)が出るわけですが、流石に以下略。


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アングルの取り方や音楽の使い方もお上手。

 

どんどんフルチらしさから離れていきますが、崖から落ちた人が落ちながら何度も岩に顔をぶつける様子をしつこく映し、落ち切る頃には顔面崩壊しているなんてところはフルチの面目躍如と言えそうです。

 

ジャーロ好きの方は押さえておいて損はないかと。


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