デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

正に地獄。 ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録

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『これは2千万ドルかけた壮大な失敗作さ。僕は自殺を考えている』

地獄の黙示録Blu-ray BOX最大の目玉です。

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録
(1991年/エレノア・コッポラ他監督)


コッポラの妻エレノアが記録した狂気のフィリピン撮影日誌。

『主役はハーヴェイ・カイテル。最初のラッシュの時、子供を寝かしつけに15分程席を外して戻ってきたら“主役交代”が決定していたわ』

1個136キロのレンガを使って600人の現地作業員が組み上げた寺院その他のセットが台風で倒壊。2ヶ月中断。

マルコス大統領が撮影協力してくれたものの、16キロ先にホンモノのゲリラ。実戦に呼び戻される5機のヘリ。「約束は2機のはずなのに!」

代役マーティン・シーンは心臓発作で緊急入院。

『製作会社に知れたら撮影は終わりだ。たとえマーティンが死んでも俺が許可するまでは黙ってろ!』


『マーロンが前金100万ドルは返さないが出演を取り消すだと? どういう事だ!』

マーロンは現場には来たものの、ぶくぶくの巨漢に大変身(ガリガリに痩せた設定なのに!)。挙句「え、原作って何?」 契約拘束は3週間。1日でも過ぎれば莫大な違約金が。

終わらない撮影、膨れ上がる制作費、完成しない脚本、マーティン倒れる、マーロン太る・・正に地獄(笑)。

これ観ちゃうとちょっとやそっとの苦労話じゃ驚かなくなります。罪な奴です。

※先日、「スマグラー」の番宣でメイキング映像が流れていましたが、ロケ先でリハ中に雨が降ってきただけで「トラブルにもめげず熱演する役者達」という大仰なナレーション。もう馬鹿かと。んなもんトラブルでも何でもねえよ。