冒頭、悪人顔のETが宇宙船の中で内輪揉め。ミーコのスターウォーズをおちょくったようなシンセ音楽に乗ってレーザーぴゅんぴゅん(音楽はバリー・デ・ヴォーゾン)。
逃亡者はカプセルに入った何かの実験体を盗もうとしていたようですが、進退窮まって船外放出。
カプセルは一路、地球へ。そこはオールディーズが流れる50`sのアメリカ。
飛来物の発見者は近くでイチャついていたアベックのお兄ちゃん。カプセルから飛び出した何かが兄ちゃんに寄生した時、お姉ちゃんの首には精神病院を脱走した殺人鬼の斧が振り下ろされていた!
そして27年後…1986年。
素ん晴らしいプロットです。自らのホラー履歴をトレスする愛の賛歌。
どこから見てもイケてないクリス・ロメロは新歓コンパで美少女シンシア・クローネンバーグに一目惚れ。
彼女に近づくため、悪友カーペンターと二人で彼女が所属するグループ“ベータ”(アニマルハウスのオメガみたいなもの)に入会しようとしますが、リーダーから出された入会検討条件は“地下研究室にある死体を男子寮の前に置いておく”という難易度∞な肝試し。
意を決して地下研究室に潜入した二人は、そこで冷凍保存された死体を発見。それは27年前、“何か”に寄生されたアベック兄ちゃんだった!
よせばいいのに冷凍解除。惨劇の幕開けです。
登場人物の名前だけでアホさ加減は一目瞭然。他にもキャメロン、ランディス、ライミ、コーマン学園などなど。
巨大なナメクジ状生物(後の「スリザー」であった…)に寄生されゾンビとなる学生たち(これがまた丁度良いスピードで動くんだ)。
大馬鹿展開かと思いきや、27年前のトラウマを抱える警部(トム・アトキンス)とか、寄生されて悲壮な決意をするカーペンター(劇中の呼称はJC)とか、ドレスアップ+火炎放射器なクローネンバーグの勇姿など画も人も厚みがあります。
特別ゲストのディック・ミラー、寮母家テレビの「プラン9」(この時代にエド・ウッド・リスペクト!)、「悪魔の墓場」完コピな死体。ツボ突きまくりです。
99年の「ザ・コンヴェント 死・霊・復・活」なんか明らかに本作の構成を模倣しています(ラストなんか丸パクリ)。
最早オリジナルと呼んでいいホラーアンセムではないでしょうか。