デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

芳一リスペクト? クライヴ・バーカー/血の本

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原作のファンや、ヘルレイザーを期待しちゃった人にはすこぶる評判が悪いですが、私こういう地味ぃな雰囲気系ホラーって結構好きなんです。

どこか日本の怪談に似た味わいもありますし。

「クライヴ・バーカー/血の本」(2009年/ジョン・ハリソン監督)

何かビートルズコピーバンドみたいな名前の監督さんですが、「クリープショー」「死霊のえじき」の音楽作ったり、「悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス」に出演したり、TV版「デューン砂の惑星」の脚本・監督したりと妙にそそられるプロフィールの持ち主です。

かつて2度の惨劇があった館へ、心霊研究科、科学者(と言うか技術者)、霊感青年の3人が調査に(まんま「ヘルハウス」)。

ほどなく心霊現象(パラノーマル・アクティビティ)が起こりますが、果たしてそれは本物か、フェイクか?

ガンマイクを通じて聞こえる死者のガヤ(笑)の中に日本語が。

人間の皮膚を切り裂いて刻まれる死者の言葉は、筆を刃物に持ち替えた“耳なし芳一”。

よく見れば、血文字の中に「殺」なんて文字も。

ヨーロッパ特有の“夏って何?”な枯れた色合いが、寒々しくて娯楽感5割引(「スキャナーズ」に近いかな)。

地獄の釜が開いたような死者の交差点(花魁にも遊女にも見える女がいる)はフルチ爺さんの「ビヨンド」拡大バージョンか。

派手な見せ場は無いし、地味なのは間違いないですが、ハズレではないと思います。

※参考:「荒涼とした景観が堪らない。スキャナーズ」→2008年12月4日
    「なんとエイボンの書が! ビヨンド」→2010年11月2日
    「ミッドナイト・ミート・トレイン」→2011年9月30日