“俺の捜査に手錠はいらねぇ! 全員射殺だ!”
物凄い惹句です。かなり内容を捻じ曲げていますが、部分的には正解です。
勝プロ製作、若山主演。映画界のサンダとガイラが手を組んだ滅茶ぶつけバイオレンス。
「桜の代紋」(1973年/三隅研次監督)
桜の代紋とは旭日章のこと。パトレイバー(イングラム)の胸部、麻宮サキのヨーヨーの側面に光っているアレ。警察官が背負う紋章です。
よく桜田門からの連想で警視庁と結びつける人がいますが、警視庁はあくまで東京都の警察本部。本作の舞台は大阪なので府警の刑事が主人公です。
今年も昇進試験は落第確定な、現場叩き上げの人情味溢れる暴力刑事・奥村(若山富三郎)。
広域暴力団壊滅のため奔走しますが、内部にスパイがいたため、証人は護送中に暗殺。更に部下、内通者自身、終には妻までが…。
もはや証拠も令状も不要。要るのはショット・ガンと拳銃のみ。
口上省略、命乞い無視。殺戮の銃弾雨あられ。
これぞ正に6年早いマッドマックス。
普通ならここで終わる所ですが、何とこの後に責任の全てを奥村ひとりに押し付ける府警の会見と裁判シーンが。
判決後、群がるマスコミに奥村が放った言葉。
「控訴? しませんよ、そんな事。私は刑事ですから」
矜持、という言葉が胸に沁みるラストです。
本作には、大滝秀治(特捜最前線)、渡辺文雄(非情のライセンス)、小林昭二(西部警察)という刑事モノ重鎮系3名が顔を揃えています。
さて、一番悪い奴は誰でしょう?
※2011年度はこれにて幕です。お付き合い頂きありがとうございました。来年も宜しくお願い申し上げます。