デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

現代フランス版サンダ対ガイラ。 WER ウェア-破滅-

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巨体と体毛という身体的特徴を備えた、ある種の奇病。

 

もし、500年前の人間がこの病気の患者を見たら何と表現したでしょう。

 

「WER ウェア-破滅-」(2013年/ウィリアム・ブレント・ベル監督)

 

フランスにバカンスに来ていたアメリカ人家族(夫婦+息子)を、“何か”が襲撃。

 

旦那は景気良く引きちぎられ、息子は胸像状態。

 

僅かに息のあった母親の証言は「二本足で毛むくじゃらの巨大な生き物が息子を喰った」

 

程なくフランス警察はタラン・グィネックという毛深い大男を容疑者として逮捕。

 

頭蓋骨を噛み砕かれた死体の状況から、人間の犯行ではないと判断した弁護士ケイト(AJ・クック)は独自のアプローチでタランの無罪を証明しようとしますが…。

 

犯人の特定に加え、グィネック家が所有する土地の接収を目論む街の思惑、闇に葬られたタランの父親の交通事故死、遺伝だけでなく感染もするタランの奇病といったミステリー要素を散りばめた前半の静的展開から、怒濤のアクション(ゴア含む)が連鎖する後半の動的展開の対比が見事。

 

クライマックスは等身大サンダ対ガイラ

 

タイトルとビジュアルから“笑えるB級”を予想していたのですが、意外やきっちり作り込まれたサスペンス・ホラーでした(ゴアも頑張っています)。

 

安易に狼男という存在を前提にせず、“こういう人たちの事を昔の人は狼男と呼んだのではあるまいか”という一歩引いた立ち位置も好感度大。

 

比べるのもアレですが、「ハルク」(インクレディブル含む)なんかより数段面白かったです。