デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

いい話だなぁ…。 ドールズ

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『持っていたおもちゃは全部覚えている』
『おもちゃもさ。彼らは忠実なんだよ』

嵐を避けて近くの屋敷を訪れた2組6名の男女。

屋敷には老夫婦と人形たち。

後は想像通りの展開ですが、ホラーではありません。これは最早大人の…いや、好きなものをいつまでも好きだ!と言える人のためのメルヘンです。

「ドールズ」(1986年/スチュアート・ゴードン監督)

嵐の夜、屋敷に辿り着いたのは、空想癖のある少女ジュディ、金持ちの継母、財産目当てで再婚して娘を疎んじている父親、そして純朴そうな青年ラルフとパンクなヒッチハイカー、イザベルとイーニド。

もう、分かりやすいにも程がある面子です。

当然のごとく、純真な心を失った男女は人形たちの制裁を受けるのでした。

人形ホラーと言う意味なら「チャイルド・プレイ」と、その製作過程という意味なら「蝋人形の館」や「デビルズ・ゾーン」と同じ箱に入るべき作品かもしれませんが、テイストはまるで違います。

まず全く怖くありません(笑)。

ちっこい人形がちっこい糸ノコで足首をゴーリゴーリとか、行為自体は人でなしですが、愛嬌があるというかなかなかに憎めない奴らなんです。

やられる方の人間に同情の余地がないので、必然観ている方も“イケイケ、ドールズ”。

『親であるというのは単なる特典で権利じゃない。君のような人間は人生と言うゲームを違う形でやり直すのだ』

「もう大人だからおもちゃは卒業しなくちゃ」という青年ラルフは、いつまでもホラーだ、クンフーだ、アニメだ、拳銃だ、怪獣だ、特撮だ、ヘヴィーメタルだ、と言っている私(たち?)の分身です。

人形たちの表情や動きが実に素晴らしく、“嗚呼、CGなんか無い時代で良かったなぁ”としみじみ。

実は本作に最も近いテイストの作品は「死霊家政婦」だと思うので、本作が好きな方は是非そちらもご覧になってください。