「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」に出演したニック・アダムスが、本家フランケンシュタイン役者(ボリス・カーロフ)とご対面。
国は英国、街はアーカム。屋敷の名前はウィットリー。
「襲い狂う呪い[北米版BD]」
(1965年/ダニエル・ホラー監督)
原作はラヴクラフトの「異次元の色彩」(The Colour Out of Space。私の手元の文庫版だと「宇宙からの色」。風情が無いにも程がある…)。
で、映画の方の原題が「Die! Monster Die!」(死ね! 怪物、死ね!)。
コズミック・ホラーな原作が、即物的な怪物譚を思わせるタイトルになり、更に「襲い狂う呪い」というオカルティックな邦題に…。
お話はアーカムの駅にひとりの青年スティーブン(ニック・アダムス)が降り立つところから始まります。駅前には気のいいタクシーの運ちゃんが。
『お、タクシーかい。さあ、乗った乗った』
『じゃ、ウィットリー家まで頼むよ』
『…降りな』
『どうかしたのか』
『どうもしねえ! いいから降りな』
八百屋の親父は「何も教えられねえ」、レンタサイクルの親父も「何も貸せねえ。二本の足使って歩いて行きな」
ようやくたどり着いたと思ったら、車椅子に乗った館の主人ネイハム(ボリス・カーロフ)が「立ち入り禁止の札が見えなかったのか。帰れ、帰れ」。
実はスティーブンはネイハムの娘スーザンの恋人。そして、彼を館に招いたのはネイハムの妻レティシア。仕方なくネイハムはスティーブンの滞在を許可しますが…。
原作は、ひとつの隕石が土地を汚し、農作物を狂わせ、家畜を狂わせ、ある農家の一家全員を狂い死にさせるという恐ろしい話なのですが、映画化するには絵的に地味。
そこで、人や家畜が怪物化するというお手軽な方法をとるわけですが、人間についてはちょっと失敗。
しかし、温室の檻の中でてらてらと光り蠢く得体の知れない生き物は素晴らしい出来。
不気味なのに愛嬌もあって、短い出番ながらも印象深いクリーチャーでした。
全体的な雰囲気的は「双頭の殺人鬼」とかに近いかも。
粗製乱造のラヴクラフトものの中ではかなり真っ当な部類に入る佳作だと思います(でも一番好きなのはやっぱり「DAGON」)。