デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

どうした御大?! ザ・ウォード/監禁病棟

イメージ 1カーペンター10年ぶりの劇場新作!

本来なら、それだけでゴハン3杯はいけるはずなのですが…。

どうした御大?! 何故、脚本を他人任せにした? どうしてヘッポコピーなシンセを奏でない?

破綻ギリギリの自分勝手さをどこに封印した? 綺麗にまとまりすぎじゃないか。


1966年のアメリカ。放火した農家の前で茫然自失している所を保護されたクリステン(アンバー・ハード)。

連れてこられたのはリゾート・ホテルのような佇まいの巨大精神病院。

監禁病棟(WARD)には、クリステン含め訳有り風な少女が5名。やがて病院内を徘徊する6人目の存在が・・。

病院という舞台設定は、雰囲気が出る反面、動きに制約があるので、展開が難しい厄介物件(大失敗例が「ブギーマン/ハロウィンⅡ」)。

89分というタイトなまとめは大正解ですが、それでも“薄い”感は否めません。

精神病患者に対する治療写真(電パチとか電パチとか、あと電パチとか)をコラージュしたオープニングは美しい音楽と相まってやたらお洒落。

ヘッポコシンセに乗って黒味に白文字という“いつもの奴”を期待していたのでやや拍子抜け(ちょっと優等生過ぎないか、カーペンター)。

オチはそれなりに捻ってはいますが、既に先達がある(ジョン・キューザックが出てた奴ね)ので、新鮮味も今ひとつ。

とにかくホラーなんだからラストに一発かまそうという心意気は完全に蛇足。もっと何気ない描写(消えたはずの●●が一緒に車に乗るとかさ)でぞわっとさせる事も出来たと思うのですが…。

今回は完全に60分のテレビサイズネタでしたねえ。シネスコの画角も活かしきっているとは思えませんでしたし。

とは言え、カーペンターがまだ現役である事を証明する程度のレベルはキープしています。ここは一番、次への期待を込めて、座して見守る事にいたしましょう。