デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

状況打破である! 究極超人あ~る[OVA]

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光画部

一度でも写真をかじった事がある人ならまずこのネーミングがツボでしょう。

写真部でもカメラ部でもない。光画部

名前とは裏腹に普通なら決して光の当たらない高校文化部。その生態を漲る活力と腰砕けの脱力ギャグ、そして溢れかえるマニア魂で描いたゆうきまさみ原作漫画のOVA。

よもやDVD化されているとは思いませんでした。しかも廉価版で。

「究極超人あ~る」(1991年/知吹愛弓監督)

冒頭に“コミックを先に読んだ方がいいよ”という趣旨のテロップ。いきなり一見さんフォロー拒否の先制攻撃。

当然、個々のキャラに関する説明一切無し。主人公R・田中一郎(写真上)が、世界征服のために作られた世界一の万能からくり人形である事その他諸々は知ってるはずでしょお約束。

夏の恒例、光画部撮影旅行。問題は予算ですが、旅行会社のスタンプラリー企画(指定全ての駅に設置してあるスタンプを集めると旅費無料)に乗っかれば無問題。

しかし、それは光画部壊滅を画策する生徒会長・西園寺まりいの謀略(旅行会社は西園寺ツーリスト)。よく見りゃ過酷な時間制限が。

綿密な計画をその場その場の欲望でことごとくぶち壊しながら邁進する光画部一行。

スタンプラリーの主戦場がJR飯田線(全長195.7kmの中に起終点含めて94の駅がある)というのも鉄ちゃんにとってはツボでしょう。

海底軍艦マーチとフリゲート艦隊マーチを足しっぱなしにした伊福部昭リスペクトな音楽が景気良く援護射撃。

クライマックスは轟天号ブリヂストンのロードマンをベースにしたR・田中一郎の愛車)10人乗りの大暴走。

活動範囲を広げた事で、あ~る本来のまったりした(それでいてしつこい)脱力さ加減が損なわれてしまった気もいたしますが、声優陣の絶品仕事と相まって捨てがたいアニメになっています。

塩沢兼人(あ~る)と神谷明(烏坂先輩。写真下)の掛け合い(どつき漫才)は最早至芸。特に神谷氏の破壊芸は、面堂終太郎、ドクター秩父山と並ぶ嵌りぶり。

ところで、これ、押井さんが「うる星」のノリで撮ったらどうなったんでしょう。ちょっと観てみたい気がします。