最早大河の風格。 げんしけん二代目♯11いい最終回だった
「じゃあ、もし、高坂がいなかったら?」
「そういう未来もあったかもね」
まさか、斑目と咲に泣かされるとはなぁ。
前作から4年、1作目から数えれば実に9年。3期(OVAもひとつと数えれば4期)40話(OVA3話含む)、最早大河ドラマと言って良い風格です。
「げんしけん二代目」(2013年7月-9月放送/水島努監督)
今回は北米版ではなく、国内版DVD-BOXで鑑賞。
1期・2期と主役だった笹原も卒業。後を次いで4代目会長となった大野も卒業を控え、現会長は5代目・荻上(←漫画家としてプロデビュー。編集者となった笹原と交際中)。
大野の趣味でコスプレ部と化した昨年は新入生ゼロ(留学生として椎応大学に入学したスーが途中入部)。
今年は荻上のイラスト実演の甲斐あって3名の新人が。しかし、全員が頭に“腐”のつく女子。しかも、良く観れば1人は女装腐男子。げんしけんは一気にやおいサークルに…。
この全方位自分勝手なメンバーを束ねる荻上と腐男子として葛藤する波戸を中心に話が回っていくのですが、実質主役は斑目。
2代目会長を務め、卒業後も大学近くの水道工事会社に事務員として就職、しはしば昼休みに部室に出没しておりました。
理由は春日部咲に逢えるかも知れないという淡い期待。
出合った時には既に高坂真琴(男としては勿論、すっぴんで女装もこなせる超絶美形。オタクとしても筋金入り)という決して勝つことのできない規格外の恋人(ライバル)が。
本作のキャラはレギュラーからゲストまで、他人の感情を読むことに長けています。気づいていないと思っていた人が実は2手3手先まで読んでいたり。
悟り悟られ読み読まれ。斑目の咲への思慕は最も分かりやすい(斑目以外の全員にバレバレな)感情。
「お前ちゃんと失恋できてねーんだよ。だからいつまでもこんなトコでグタグダやってんだ」
「周りの人間に裏で事情通ヅラされんのは疲れんだよ。斑目はアホだからそーゆーのに耐性なくて逃げたんだろ?」
げんしけん正式メンバーですらない笹原の妹・恵子にまでこの読まれよう(恵子はキャバ嬢やってますが、斑目のために自腹でアスカのプラグスーツを買ったりしています←著作権の絡みで店長に却下された)。
女装用の支度部屋として斑目の部屋を使わせてもらううち、男でも女でも分け隔てなく接してくれる斑目に対し某かの感情を覚えるようになった波戸、恵子、そしてスーの計らいで学祭の日に部室で咲と二人きりになった斑目。
4年に渡る忍ぶ恋に決着を。がっつり受け止めてきっちり振ってやる咲。
解放されてすっきりする斑目。しかし、それは咲も同じこと。
4年前から斑目の感情に気づいていた咲。思わせぶりな態度だけはとらないようにしようと務めた結果、斑目を4年も苦しめてしまった。その後ろめたさから解放された咲が安堵の涙。
いやあ、もらい泣きしましたよ。1期から観ている人間にとってここはツボです。
(最終回じゃないけど)ホント、いい最終回でした。
その他のメンバーについても少しだけ。
やはりイチオシは前期ゲストから今期レギュラーに昇格したオタクinUSAスザンナ・ホプキンス(スーさん。写真4段目)です。
発言の9割がアニメ・漫画の名台詞。数少ない普通の喋りは状況打破のためのサジェスチョンという実に“使える”女の子です。
ベスト引用はR・田中一郎の瞬間顔真似(写真一番下)。
顔真似の瞬間芸(代表作:テレスドンの目)を得意とするRの顔真似という高レベルな引用でありました(因みにカメラを持った時は「逆光は勝利!」というたわば先輩の教えを忠実に守っていました)。
女装を続けるべきか、やおい漫画を描いてもいいのか、悩む波戸。1期1話の笹原の台詞がよぎります。
「俺に足りないのは覚悟だ。欲望のままに生きる覚悟」
今期は声優総入れ替えという大鉈振るう大改革が為されましたが違和感ゼロ。監督も水島努にバトンタッチされましたが、OVA(荻上登場回)を手掛けている人ですから身内も同然。
水島監督は「撲殺天使ドクロちゃん」「ガールズ&パンツァー」「ウィッチクラフトワークス」そして本作と私の中では上昇気流に乗った人。
同じメンバーでの4期、心待ちにしています。
※参考:「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー! 撲殺天使ドクロちゃん」
→2013年10月4日
「覚悟持てる若者達よ。 げんしけん[北米版DVD-BOX]」
→2014年3月8日
「ふぞろいのオタクたち。 げんしけん2[北米版DVD-BOX]」
→2014年3月28日