デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

発掘良品。 ブラッディ・ナイト 聖し血の夜

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“雰囲気を愉しむ”・・ホラー映画の外せない魅力のひとつでしょう。

傷だらけのフィルム、8mmで撮ったかのようなガサつき、退色もしくは人工着色したかのような不自然なカラー・・普通だったらマイナスにしかならない現象も、時として雰囲気をアシストする好材料に化けるのがホラー映画の底力(?)です。

たとえマスターが古かろうが劣化していようが、埋もれさすよりは廉価で販売。これぞホラーメーカーの心意気です。偉いぞWHD。

「ブラッディ・ナイト 聖し血の夜」(1974年/セオドア・ガーシュニー監督)

マサチューセッツの古い町(何故かマサチューセッツというだけで怪しさ5割増)。

主が焼死してから30年間、当時の状態のまま無人保存(放置?)されている豪邸バトラー・ハウス(写真上。持ち主の名前を付けて○○ハウスと呼ぶのもホラーのお約束。前年に製作された「ヘルハウス」のベラスコ・ハウスもこの系譜)。

決して手を加えてはならない、という相続条件を守ってきた唯一の血縁者(焼死した主の孫)が、諸般の事情で売却を決意。

買い取りに名乗りをあげたのは、地元行政。市長、署長、新聞社オーナー、そして電話交換手。腹にイチモツどころじゃない怪しさ満開カルテット(写真3段目)。

同じ頃、豪邸売却のニュースを聞いた精神病院収容患者がレンチ振り回して大脱走

そして始まる大惨劇。

製作と共同脚本にジェフリー・コンヴィッツ(「センチネル」の原作「悪魔の見張り」著者)が名を連ねているせいか、オカルトのような売り出し方をされていますが、ジャーロです。

原題は「SILENT NIGHT, BLOODY NIGHT」。

寂しさ以外何もない田舎町。ひっそり佇む豪邸。曰くありげな住民。子供の歌う“聖しこの夜”が嫌々感増幅。

惨劇の原因(殺人の動機)が、二重三重に自業自得(狂人的逆恨み)なのと、そこから連なる町の生い立ちに無理がありすぎるのが難ですが、画に抗いがたい魅力があります。

特に精神病棟に隔離(軟禁)されていた精神病患者が大量脱獄する回想シーン。

セピアな光の中でゆったりと歩く狂人の群れは幻想的悪夢。

内容は全然違いますが、「恐怖の足跡」「死霊の町」「メサイア・オブ・デッド」あたりと同じ箱に入る雰囲気ホラーの逸品です。