
「俺には信じられない。お前のような奴がこの地球にいたとは! 貴様の名は?!」
「私はマグマ大使だ。お前と戦う為にこの地球に生まれたロケット人間だ!」
円盤から見下ろす侵略者ゴア。斜め下方でホバリングしながら見上げるマグマ。
善と悪の初対峙として、これほど優れた構図は他にちょっと思いつきません。
更に凄いのはこのシーンが第1話ではなく、第4話のエンディングだと言うことです。
「マグマ大使/第4話・危機一髪 東京!」(1966年7月25日放送/土屋啓之助監督)
「ウルトラマン」に先んずる事13日。日本初の全話カラー放送による特撮ドラマ。
第4話はマグマとゴアが初めて顔を合わせる出会いの回。
登場人物もキャラが明確になり、僅か25分の間に全員が自己主張しまくります。
「マモル君もガムもただ強いだけではいけない。相手と戦う時は、まず良いことか悪いことかをよく考え、次にその結果がどうなるのかを考えた上で行動しなければいけない。そういう事も考えないで行動するのは、決して強いのでもなければ勇気があるのでもないのだ」(by マグマ大使)
「誰がモグネスの電子頭脳を破壊したと言うんだ! 地球の人間か…いいや、そんなはずはない。同じ人間同士がいがみ合い戦いあっているあの馬鹿な奴らに、月にさえもまだ行っていない無能な奴らに絶対出来るはずが無い!」(byゴア)
「マモルとガム君とは大の親友なんだろ? だったら信じてあげなきゃ。お互い信じあう事が一番大切なんだ。信じあえば戦争もなくなる。世界が平和になる。そして、お互い信じあって戦えば必ずゴアに勝つ事が出来る」(by マモルの父-岡田真澄-)
「(小型ロケットに乗っているのが子供と知って)何、子供だと? 俺は子供とは戦わん。やんわりと落としてやれ」(by ゴア)
なんだよ、ゴアって結構いい奴じゃん(笑)。
この饒舌さは、活劇に徹したウルトラマンとの大きな違いかもしれません(善くも悪しくも手塚治虫という事でしょうか)。
マグマ大使と言えば、実写・特撮・アニメを縦横に駆使した素敵過ぎるOP。
中でもゴアの円盤が重力を操って地上のものを吸い上げるカット(写真上)と、マグマの腹からミサイルが打ち出されるカット(写真下)は秀逸。
特に後者のアングルの取り方には才能を感じます。本編内も深作ばりの斜め構図を多用し、変化とメリハリの利いた画面構成になっています。
「帰ってきたウルトラマン」「仮面ライダー」に3ヶ月先んじて変身ブームを牽引した「宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)」と並ぶピー・プロの代表作です。