デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

フェラーラ版“叫び”。 ボディ・スナッチャーズ

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「逃げる? どこへ? もう、あなたの種族はいないのに? 逃げる? どこへ?」

カウフマン版のキメである“絶叫”を安易にトレスしたとの批判もあるようですが、メグ・ティリーが般若の如き形相でスクリーム迸らせた瞬間、映画が劇的に転がり始めたのは事実。

ジャック・フィニイ原作「盗まれた街」、3度目の映画化です。

「ボディ・スナッチャーズ」(1993年/アベルフェラーラ監督)

監督・アベルフェラーラ。何と言う意表をつく人選。

更に原案・ラリー・コーエン、脚本・スチュアート・ゴードン。脇にリー・アーメイとフォレスト・ウィッテカー。

俺(たち)に「おお!」と言わせる以外にどんな効能があるんだ、この適材適所。

今回の舞台は街ではなく軍事施設。

施設の環境検査をする研究員一家(父ちゃん、娘、父ちゃんの後妻、後妻との間に出来たガキの4人)が訪れたフォート・デイリー米軍基地。

軍隊はただでさえ没個性なものですが、ここは輪をかけて不気味さMAX。

やがてこの一家にも異変が…。

前半の家族関係描写と後半のサスペンスが全くリンクしていない(伏線って何?)とか、撮るべきカットを撮っていない上にタメがない、とか文句は多々ありますが、全体的に小気味良いアクション映画にはなっていると思います。

終り間際の無駄に派手な爆撃シーンは誰の好みだったんでしょ?

フェラーラの趣味ではないような(あれがあるために余韻が全く残らない)。

ついでに言えば、恐らく本作唯一の合成カットであろう“ガキ絶叫落下”シーンは無い方が良かった。

アナログ操演以外の特撮は排して、地味ぃに終わらせて欲しかったなあ。

さて、久しぶりにサザーランドの絶叫を聞こうかな…。

※参考:「走るゾンビより怖いじゃないか。SF/ボディ・スナッチャー
      →2008年10月25日