タイトル(邦題)に騙されてはいけません。
確かに「ネズミに齧られてネズミ化した人間が人を襲う」というプロットを聞けば、低予算トンデモC級ホラーだと思うでしょう(思わない方がおかしい)。
しかし、実態は「滅びの笛」と「ゲーム版バイオハザード2」を足した後、派手な場面を全部差っ引いた渋ぅい感染パニック・ホラーでした。
「ネズミゾンビ」(2006年/ジム・マイクル監督)
原題は「MULBERRY STREET」。舞台となるニューヨークの通りの名前です。
ここにひっそりと佇む老朽アパート。大手企業に買い取られて、取り壊し&建て直しが決まり、住人は強制退去に怯える日々。
前半はここに暮らす人々の日常風景なのですが、切り取り方と繋げ方が巧いので、意外と退屈しません。
通りの脇の段ボールハウスの中で齧り殺されている女性のホームレスをさらっと映したりするので目が離せなかったりします。
やがて地下鉄を襲うネズミの大群。地下鉄運行停止、道路封鎖、送電ストップ・・低予算の悲しさで、全てニュース解説による報告形式ではありますが、話のスケールが急速膨張。
主人公はバート・レイノルズのバッタモンのトム・セレックのさらにバッタモンみたいなボクサー崩れのマッチョなおっさん。
このおっさんに惚れている子持ち熟女、イラクから帰還したおっさんの娘、ゲイ黒人に退役軍人の爺さんコンビなどがその他の登場人物。
全員無名(少なくともスターはいない)ですが、いつどこで誰に死亡フラグが立つか分からないという緊張感があります(実際、展開予想外)。
銃火器とかは登場しないので、派手なドンパチを期待されている向きにはお勧めできませんが、「ベルリン・オブ・ザ・デッド」みたいな終末系がお好きな方は楽しめると思います。
★ご参考