デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ドライヴの予習も兼ねて。 ザ・ドライバー[Blu-ray]

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祝!HDリマスター&Blu-ray化!…と言いたい所なのですが、残念ながら“流石Blu-ray!”と喝采を送る程の出来にはなっておりませんでした。

とは言え、増感現像したんかいな?と思うような輸入版DVDに比べれば十分画質向上はしています。

旧国内版(廃盤)中古に結構な値段が付いていた事を思えば“祝!再販!”の価値は十分あるでしょう。

ザ・ドライバー(1978年/ウォルター・ヒル監督)


凄腕の逃がし屋“ドライバー”(ライアン・オニール)、ドライバー逮捕に執念を燃やす“ディテクティブ”(ブルース・ダーン)、ミステリアスな女賭博師“プレイヤー”(イザベル・アジャーニ)、頼み人とドライバーと仲介役“コネクション”(ロニー・ブレイクリー)。

主人公たちだけでなく、画面に登場する全ての人間に固有名詞がありません

役割の記号が割り振られたシン・シティの攻防劇。これが監督2作目とは。ウォルター・ヒルの潜在能力は(この時点では)計り知れないものがありました。

最初の台詞が発せられるまで6分。ガヤ以外の台詞を廃したドライバーvsパトカー4台のドッグ・チェイス

逃走(追跡)シーンで最も大事な事は追う者と追われる者の位置関係がきちんと観客に明示され続けている事。

手持ちカメラ揺らしながら、短いアップを矢継ぎ早に貼り付けていけばスピード感が生まれると勘違いしている人が多いですがイラつくだけです(この1点に於いて私はボーン・シリーズの2作目以降を全く評価しておりません)。

ニヤリともしないオニール、ニコリともしないアジャーニ、憎らしいほど挑発的なダーン。

『報酬は30%だ』
『それほどの腕か?』
『…乗れよ』

地下駐車場内をもの凄いスピードで走りながら、依頼人の車を少しずつお釈迦にしていくドライバー。エンジン音、ブレーキ音、擦過音、激突音(と依頼人の悲鳴)だけが響く、このシーンは静かな興奮に満たされる中盤の見せ場。

ピースメーカーをサウスポーで扱うのも堪りません(分かりにくいですが写真上)。

ドライバーの目撃者であるプレイヤーが何故ドライバーを庇ったのか、また、その後、何故ドライバーがプレイヤーに会いに行ったのか、がちょっと分かりにくいのですが、映像特典の“もうひとつのオープニング”(←正確にはオープニングではなく、単なる未使用シーン)を見ると、コネクションがプレイヤーに偽証依頼するカットが存在していました。

報酬は前金+成功報酬。ドライバーが会いに行ったのは後金を払うためだったんですね。

結構重要なシーンだと思うのですが、何故カットしちゃったんでしょう?