『やがて高所で鉄骨を組む仕事はなくなる。鉄筋コンクリートが主流になるだろう』
レンチ一本ベルトに挿して、椰子の木を登る猿のように鉄骨を駆け上がり、天空に突き刺さるバベルの塔を組み上げる男達。時代と共に消えゆく郷愁のマイスター。
「超高層プロフェッショナル」(1979年/スティーヴ・カーヴァー監督)
命綱って何?な高所作業のスチールにアンセムのようなテーマ曲が被るタイトルバックだけで男汁が滾ります。
街の新たなシンボルとなる高層ビル、ハイエス・タワー。
『高いビルを見るとわくわくする』
現場叩き上げの名物社長ルー(ジョージ・ケネデイ)は今日も現場へ。運転手を後部座席で寛がせ(酒も飲ませて)、自らハンドルを握る冒頭シーンだけでルーの人柄が偲ばれます。
しかし、不慮の事故でルーは現場最上階から転落死。
いつもなら飛行機に穴が開こうが、パイロットが吹き飛ばされようが、“何とかしてくれる”男が墜落死。ショッキングな幕開けです。
跡を継いだのは愛娘キャス(ジェニファー・オニール)。父親譲りの正義漢(?)ですが、残り3週間であと9階分をあげないと経営の権利が銭ゲバ非道な叔父(ルーの弟)エディ(ハリス・ユーリン)の手に。
キャスはルーの片腕モラン(アート・カーニー)の推薦で引退した伝説の現場監督マイク・キャットマン(600万ドルの男リー・メジャース)を招聘。
マイクは各地に散っている達人6人を次々に確保。7人の超高層プロフェッショナルが結集。新たに志願した2名とキャスを加えた10名が天空に挑む。
重厚な人間ドラマ…ではありません。天空と言う戦場で戦う傭兵の物語です。
お約束の妨害工作、仲間の死、悪天候、マイクがひた隠す高所恐怖症の克服というイベントを次々クリアし、更なる結束を強め…。
破壊ではなく建造を目的にしている所がユニーク。
高所恐怖症の人は指の隙間からご覧ください。