『どんなに酷い喧嘩をした朝も、空を飛ぶ日だけは必ず笑顔で送り出してきた。ずっとそれだけは守ってきたから。…いってらっしゃい。気をつけて』
よもやウルトラマンで“夫婦の絆”に感動しようとは…。
「ULTRAMAN」(2004年/小中千昭監督)
ベースはウルトラマン第一話「ウルトラ作戦第一号」。
科学特捜隊のような組織は存在しません。主人公は航空自衛隊のF15Jパイロット・真木舜一(別所哲也)。
難病に冒された1人息子との時間を作るため除隊を決意した真木は、スクランブル発進中に謎の赤い光と接触。機は墜落・大破したものの本人は無傷。
除隊後の真木の就職先は星川航空!!
同僚は一平に由利ちゃん。社長(草刈正雄)は劇中では社長としか呼ばれませんが、クレジットは万城目。ナイス小ネタ。
ここでセスナ操縦中に特務機関監察官・水原(遠山景織子)に拉致られた真木は驚愕の事実を知ることに。
真木が赤い光と接触する少し前、太平洋上に墜落した未確認飛行物体を調査していた海上自衛隊員の有働貴文(大澄賢也)は、謎の青い光と接触。人格を乗っ取られ凶悪なビースト“ザ・ワン”に変貌。多数の自衛隊員を虐殺して基地外へ逃亡していました。
有働同様、真木も怪物化するのではと危惧した軍当局による強制連行。
『“ザ・ワン”、それがお前らが怪物につけたコード・ネームか。なら、俺の事はどう呼ぶつもりなんだ?』
『ネクスト…かしら』
ザ・ワンの襲来を契機に覚醒した真木はネクストに変身。
好みの問題ですが、ツルっとしていないデザインはウルトラマンの初期マスク(Aタイプ)を思わせて好印象。
カラータイマーに相当するエナジー・コアの点滅音が“ピポンピポン”ではなく、“ドックンドックン”なので、ヤバイ感倍増。
本作の見せ場はフライング・シーケンス・ディレクター板野一郎氏による空中戦(所謂板野サーカス)。
ザ・ワンがベムラー・タイプの宇宙生物なので、どうやって空中戦に持ち込むのかと思っておりましたが、なるほどその手がありましたか。
サーカス的空中戦も良かったですが、初めてネクストが飛べた時の浮遊感が実にいい感じでした。
『飛べる…俺はこの空を飛べる』
真木の妻を演じた祐木奈江が女優オーラが綺麗に消えて薄幸オーラ全開の主婦になっていたのが印象的でした。