デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

罰だ! 悪魔のサンタクロース2/鮮血のメリークリスマス

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たとえ脳患いの行動であっても、それなりの因果律ってものは必要なのではないでしょうか。

お兄ちゃんが泣いてるぞ。

「悪魔のサンタクロース2/鮮血のメリークリスマス」(1987年/リー・ハリー監督)

先般御紹介した「悪魔のサンタクロース/殺戮の斧」の地続きの続編…なのですが。

前作ラストで兄ビリーの非業の死を(そして果せなかった想いを)目の当たりにした弟リッキー(エリック・フリーマン)。

成長したリッキーはどうやらあちこち血の海にしたようで、警察で精神科医の診断を受けています。

ここで何と前作の映像を使いまわしたリッキーの回想が40分!

しかも! どう考えても記憶なんかないであろう幼少期(両親惨殺シーン)や、「お前、その場にいなかっただろう!」な場面まで克明に口述。

里親に引き取られ、いつの間にか兄同様のマッチョな肉体になったリッキーは、内に秘めた殺人衝動に目覚めていくわけですが、覚醒のトリガーが弱い。

女性に暴力を振るう男の持っていた赤いハンカチで、“母惨殺byサンタ”を思い出すというだけでは、自らがサンタになる事で恐怖の対象と同一化した兄ビリーに遠く及びません。

さらに! ビリーは孤児院院長に刷り込まれた“しつけ”が行動原理になり、罪を犯した者に罰を与える“なまはげ”となりましたが、リッキーはどう見ても単なる快楽殺人者。

行き当たりばったりで恋人も警官も瞬殺し、奪った拳銃で道行く人を虫けら扱いしてハンティング(眼が完全にイッてしまっています。躊躇い皆無な辺りほとんどターミネーター)。

最後の標的は勿論、兄が討ちもらした孤児院院長のシスター・スーペリア(ジーン・ミラー)。

因みに前作でシスター・スーペリアを演じていたのはリリアン・ショーヴァン。役者が変わったのを誤魔化す為にジーン・ミラーは顔面左半分に火ぶくれ状の特殊メイクをされています。

果たしてリッキーは憎っくきシスター・スーペリアを討ち取る事ができるのか?!ってのが本来なら興味の焦点になるはずなのですが、終盤、突然思い出したようにシスターの元に向かうので「おいおい、今までの殺しは何だったんだ?」な想いひとしお。

精神鑑定を受けるような犯罪者はもうちっと知的であって欲しいなあ…。

※参考:「西洋版なまはげ。 悪魔のサンタクロース/惨殺の斧」
      →2012年11月21日
     「ジャンゴかよ! 悪魔のサンタクロースまさかのリメイク」
      →2012年11月22日