テニスコートでコーチにしごかれる少女。
真剣な眼差し、ラケットを握る手、軽快なステップ…スポーツ映画のクライマックスのようなカットをスローで捉えるカメラ。
コーチもスローでボールを打つ。その瞬間、ネットに沿って地割れが!
少女がボールを打ち返すと同時に地割れからマグマ噴出!
炎のカーテンを突き抜けたボールは文字通り火の玉となってコーチを直撃!
ボールはラケットもコーチも貫通。コーチは風通しの良い涼しげな肉体に(所謂「地獄の謝肉祭」カット)。
こういう本編とは何の関係も無いシーンに無駄な情熱と手間隙をかける…これだけで、本作は鑑賞と信用に値します。
「YOGAN-ヨウガン-」
(2011年/トドール・チャプカノフ監督)
舞台はマイアミ(原題は「MIAMI MAGMA」)。
天才火山学者アントワネット(レイチェル・ハンター←ロッド・スチュワート元妻)の研究資料を盗用して、石油の違法採掘を続ける大企業(CEOはブラッド・ドゥーリフだ!)。
しかし、彼らが掘り当てたのはかつてメキシコ湾を形成した超火山、スーパーボルケーノでした。
冒頭の海底油田基地大爆発からいい感じ。
いかにも悪役、いかにもヒーローなキャラをあっさり殺してしまう意外性もなかなか。
序章としてマイアミを襲った熱波のニュースを見た学者が「STEAM TSUNANIだ」。津波って国際用語なんですね。
驚いたのはクライマックスで軍人さんが最も危険な任務をあっさり民間人に任せた事。「そうか、死んでくれるか、悪いな、恩にきるぜ」みたいな感じ。やるなマイアミ。
残念だったのは大量の液体酸素とプラスチック爆弾でマグマの吹き出し口をコントロールするというミッションの結末が絵的に表現されていなかった事。
多分、作り手も何をどうビジュアル化すれば、理屈に合うのか全く理解していなかったのでしょう(なんせ脚本書いているのが「シャークトパス」の監督ですから)。
後半完全に息切れしていますが、それでも「ボルケーノ」の100倍は楽しめました。
「シャークトパス」といい本作といい駄目とは言え、これくらいのレベルをキープしたTVMがほいほい量産されていると思うとアメリカTV業界はホント侮れません。