「正直 自分が何者かだなんてコト 俺にだってまだよくわからない。でも とりあえず今だけは――
俺は ウルトラマンだ!!」
ドラマにおける“名乗り”の効能は曼荼羅畑が繰り返し主張するところですが、本作でも(ポージングの素晴らしさと共に)見応えのある名シーンになっています。
「ULTRAMAN/第2巻」(清水栄一×下口智裕著)
「覚えておけ。私の名はベムラー。始まりの敵だ」
中坊心を鷲掴みにした口上を残して消えた謎の宇宙人との初陣で精根尽き果てた進次郎。
科特隊のメディカル・センターで目覚めた彼の前に現われたのは何と、
「私の名はエド。かつてキミ達が“ゼットン星人”と呼んでいたモノだ」
「ゼットン星人…それって」
「そう。私は過去に地球を侵略しようとし、ウルトラマンを殺した種族の生き残りだ」
エドの口から語られるウルトラマン去りし後40年の宇宙的事情。そして提案。
一方で発生した連続猟奇殺人事件。人間業とは思えない手口に困惑する捜査現場に強制介入してきた謎の男。
「アンタぁ どこの人間だ?」
「科学特捜隊の 諸星というモノです」
被害者の共通点はアイドル・タレント“レナ”のファンである事。
お話の背景は宇宙規模になりましたが、追いかけるエピが連続猟奇殺人事件とウルトラマンに興味津々のアイドル・タレントという実に「デスノート」チックなものなので、正直、第1巻にあったワクワク感は後退してしまいました。
が、力を手にした者がその力にどう向き合うのか、はヒーローものでは避けては通れぬ大道エピ。
進次郎の自覚を促す展開は物語上の必然なので、極めて正しい2巻の在り方ではあります。
個人的には諸星くんの立ち位置がややヒール寄り(自覚なき進次郎に対して批判的)なのがちょっと残念でした。
彼の抱える“秘密”も気になるところ。
第3巻は夏~秋頃発売…って月刊誌連載中なので仕方ないですが、エラく先だなあ…。
※関連:「光継ぐ等身大の第二幕。 ULTRAMAN[第一巻]」→2012年12月3日