デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

モラトリアム…だけじゃない。 映画 けいおん!

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卒業は別れを意味し、別れは自立を促すもの。

故に、4人揃って同じ大学(しかも女子大)に進学するというオチは、別れも自立も棚上げしたモラトリアムとして否定的に捉える人がいるかもしれません。

いいじゃないですか。

「こんな事いつまでも続かへん。100年経ったら今いる人皆死んでるし。でもできるだけずっとこのままでいたいねん!」

私の魂の1本「喧嘩の花道 大阪最強伝説」の台詞です。

泣こうが喚こうがいつか別れはやってきます。就職や結婚を皆一緒に、なんて出来るわけがありません。

でも(いやだからこそ)心地良い時間が可能な限り続いて欲しいと思ったっていいじゃないですか。

映画 けいおん!」(2011年/山田尚子監督)

第二期番外編「計画!」の後日談であり、第二期最終回「卒業式!」を補完するミッシング・リンク的位置づけのエピソードです。

放課後ティータイムの面々(2年生の梓含む)は、卒業旅行でロンドンへ。

普通なら様々なハプニングに見舞われるシチュエーションですが、勿論そんなものはありません(誰も期待しておりません)。

ビッグベンなどの名所に昂揚する御一行。私も「おお、ここは“THE 地球防衛軍”で破壊の限りを尽くしたステージではないか」と大興奮。

まさかのロンドン・ライブまで敢行して帰国。待っているのは卒業式。

屋上に出た3年生が見上げる空にはヒコーキ雲と羽ばたく鳥。

同じ情景を校舎の廊下から窓越しに見つめる2年生の梓。

巧いなあ。

学校を出て歩いていく唯たち4人の腰から下だけをカメラに収めて延々移動撮影。

同じ制服を着て同じ道を歩くことは二度とないであろう4人のキャラを足だけで識別させる巧さ。

ちゃんと後戻りできない時間の流れや目の前に開いたドアの向こうを見せてくれているのですね。

続編(「けいおんCOLLEGE」「けいおんHIGH SCHOOL」)もアニメ化してくれないかなあ…。