デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

蛇足か、新展開か。けいおん!college/high school

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TV版最終回と劇場版の併せ技で感動の大団円を迎えた「けいおん!!」の後日談。

卒業した主人公たちに合わせて視点移動する「college」と、在校生・梓と共に視点を高校に留めた「high school」。

ちょっと「エクソシスト2」「3」を思わせる枝分かれ番外編。

一度完結した物語を再起動(継続)させるのは、古くは「鉄腕アトム」、「サイボーグ009」、ちょっと前なら「北斗の拳」を見れば分る通り、中々にハードルの高いチャレンジです。

まずは大学編「college」。

女子大の寮という“自立って何?”な共同生活を始めた4人に新キャラを交えた構成になっているのですが、この新キャラが微妙過ぎ。

大所帯の大学軽音部で対バン関係になるスリーピース・ユニットなのですが、メインとなる晶が全く以って「けいおん」のカラーに馴染んでいません。

しかも、本編では“禁じ手”だった恋愛話をサブキャラ・メインで進めるものだから、「はて、こちらの主役は晶なのかい?」と違和感満開。

高校時代のようなイベント(廃部危機、合宿、修学旅行、学祭など)もほとんどないので、メリハリというものがまるでありません。

まったりゆったりは「けいおん」のテンポではありますが、あまりに起伏がないのも如何なものかと。

せめて音楽的(技術的・人間的)成長でもあれば、ドラマとして盛り上がるのですが、それも無し。所謂“感動のツボ”が見当たらないのです。

引き換え、「high school」の方は、梓の孤軍奮闘という明確なベクトルがあるので、安心して読み進める事ができます。

ひとつ文句をつけるとしたら、夏休みに帰郷した唯が梓に会わないで帰るって事はないだろう、という事。

線引きをするために敢えて避けたのかもしれませんが、ここは帰ってきたウルトラマンが苦悩している所にウルトラ・ブレスレットを持って現われるウルトラセブンのような感動のゲスト出演シーンが見たかったですね。

梓メインになるのは仕方がないとして、できれば“指が6本なければ弾けない楽譜”をいとも簡単に弾きこなしてしまう憂の天才性をもう少しフィーチャーして欲しかったかな。

これまでは唯の影に隠れ、今度は梓の影に隠れでは憂が不憫です。

high school」の話を基本軸にして、ここに大学生になった4人がゲスト的に絡む、という構成でアニメ化して貰えると言う事無しなのですが…。