杜撰…。 図書館戦争/革命のつばさ
テロリストがテキストに使用したと思われる小説を書いた作家がメディア良化法のスケープゴートにされる…。
テロリストを猟奇殺人犯、小説をホラー映画に置き換えれば、マスコミが大好きな“原因と結果の因果律(超ステレオタイプ版)”の完成です。
ネタは良い。ネタは良いのですが、盛り付けが滅茶苦茶。
「図書館戦争/革命のつばさ」(2012年/浜名孝行監督)
TV版12+1話を一気観して劇場版に繋いだので、設定上の混乱はゼロでしたが、映画としての基本的な構成が杜撰。
笠原と堂上の恋愛はTV版でほぼ成就してしまったも同然なので、さしたる前進も後退もないのは致し方ないとして、ストーリーの骨子が何とも。
作家・当麻蔵人を拘束し執筆権を剥奪しようとする良化隊と、その身柄を保護して裁判を起こす図書隊という図式なのですが、裁判の論点がまるで語られておりません。
ただ、一審判決、控訴審判決、最高裁判決という時間の区切りと結果があるだけなので、その裏の(心理戦を含む)攻防が全く見えてきません。勝った、負けたの繰り返し(「ロッキー」のラウンド経過みたい)。
かろうじて柴崎が手塚兄との裏工作で関係者の抱きこみが図られる程度。全く以って盛り上がりません。
最高裁敗訴の場合、当麻氏を亡命させるというアイデアを笠原が出した時、関係者全員が「気がつかなかった!」「その手があったか!」と大はしゃぎするのですが、いやいやいや、思いつくだろ、普通。
で、この亡命計画が実に場当たり的でいい加減。個人プレーもいいけど組織なんだから組織で動けよ(科学特捜隊か君ら)。
で、一番気になるのが、笠原の成長の早さ。エンブリヨかよってくらい早い。
柴崎のキャラが何故か私の中で香貫花クランシー(写真3段目右)と被るので、つい「パトレイバー」と比較してしまうのですが、「パトレイバー2」で野明がつぶやいた、
「私、いつまでもレイバーが好きなだけの女の子でいたくない」
という台詞と笠原の「私、教官と同じカミツレをとります!」では説得力が違うのです。
あと、紀伊国屋書店員の存在と過去エピは本当に必要だったのか?
ついでに「チビ」とか「バカ」という単語は台詞で出る分には気にならんが、テロップで出すのはどうかと思うぞ。
TVシリーズのエピとしてなら十分楽しめる出来だと思いますが、劇場版としてはちょっと…。期待値が高すぎたかな。