色々と嘘つき。 ジャンゴvsエイリアン
「よーし、騙されてやるぞぉ!」と覚悟して観たくせに「くっそー、騙された!」と嘆く。
そんなひとりバックドロップを繰り返しつつ、人は成長していくのですね…。
一瞬、これは拾い物かも、と思ったんだけどなぁ。
「ジャンゴvsエイリアン」(2013年/レネ・ペレス監督)
原題は「ALIEN SHOWDOWN:THE DAY THE OLD WEST STOOD STILL」。大きく出るにも程があります。
時は1854年(とIMDbには記載されていますが嘘です。作中の台詞によれば1869年)。
尋ね者のガンマン(実は教会から盗まれた銀製と思しき十字架像を奪い返してきた良い奴)が賞金稼ぎに包囲されたその時、何か巨大なものが近くに墜落。
この時の煙の形が物凄く“いい感じ”(写真1枚目)で、期待感アゲアゲ。
加えてお尋ね者が持っている銃がニューモデルアーミーなのも高ポイント(因みにニューモデルアーミーが製造開始されたのは1863年からなので、IMDb記載の1854年だと歴史的にも矛盾。でもよく見りゃ賞金稼ぎがピースメーカーくさいの持ってるんだよなぁ…)。
この隙に脱兎の如く逃げるお尋ね者、逃がすものかと追う賞金稼ぎ。
あれ?
何だこのスピード感も緊迫感も涅槃に置き忘れたような追跡シーンは…。
お尋ね者は字幕では“ジャンゴ”と呼ばれていますが、名前はラインハルト(Reinhard。追跡者に「このドイツ野郎!」とか言われている)です。
間違ってもジャンゴさんなどではありません。
落ちてきたのは飛行物体のようで出てきたのは…どこからどう見てもプレデターのバッタもん(写真2枚目。以下ブレデくんと略)。
そりゃ地球外生物には違いないからエイリアンなんだけどさぁ。
実は宇宙人はもうひとり。こいつはまんまグレイ(写真3枚目)。
いや、地球外生物には違いな(以下略)。
で、このグレイさんが(テレパシーで)言うことにゃ、
「あのプレデくんは地球に水と食料を探しに来た斥候じゃ。水と食料が豊富と分かったら大船団を呼ぶじゃろう。その前にあやつを叩くのじゃ!」
何でお前が戦わねえんだよ、と思う間もなく、時代は突如現代へ。
何と、プレデくんの残した発信機が電磁バリアに包まれたまま、今も生きているのでした。傍らにはラインハルト(くどいようだがジャンゴではない)の白骨死体が。
ラインハルトの残した日記(こいつは電場バリアの外にあった)から、事情を察した国と科学者グループ(アインシュタイン含む)が、この機械の謎を解こうとしましたが歯が立たず。
いつしか予算は削られ、今や坂下に若い見張りがひとり。科学者も暇そうな奴を捕まえてきては形ばかりの研究をさせている始末。
前職解雇された女科学者マリーナがこの遺物のお守り役に大抜擢。
ラインハルトの日記を読むマリーナ。再び時間は19世紀へ。
と書くと何か面白そうに聞こえるかもしれませんが、全然面白くありません。
プレデくんの武器はレーザー・ガトリング砲だけだし、ラインくんとの死闘も結局最後は肉弾戦で、しかもどうにか覚えた段取りをひとつひとつ消化しているだけのスローモーバトル。
ドニー・イエン先生だったらこいつらが1発殴る間に100発蹴って、飯くって昼寝した後にもう100発蹴るんじゃないかと思うくらい遅い。
また現代に移ると、マリーナの家の窓から中を覗くグレイくんの姿が…。
またこいつがテレパシーで、「あの発信機(正確にはプレデくんの星の母船を呼び寄せる信号を妨害している機械)は壊れかかっているのじゃ。お前が直すのじゃ」
なあ、お前今までどこで何してたんだよ。壊れかかっているって分かっているんなら自分で直せよ。
で、彼女が“知りすぎた”と思った上層部が彼女のIDを剥奪。
おお、実は国はあの正体に気づいていたのか、もしくはゼイリブのように宇宙人と某かの裏取引をしていたのか?!と思わせておいて何の妨害も無し。
見張りの兵隊さんと「通して」「駄目だぴょーん」の押し問答があるだけ。
全く盛り上がらないうちに、え、これで終わり?。
ううむ、高校の学園祭の自主映画じゃないんだから、もうちょっと何とかならなかったのか。