
「さだめじゃ…」
いや、そんなさだめは認めない。
俳優・声優の永井一郎さんがお亡くなりになりました。
1月27日。仕事先(広島)のホテルの浴室で。心不全。82歳。
星一徹に続いてチェリー(錯乱坊@うる星やつら)まで。
初代・張々湖(006@サイボーグ009)、子泣き爺(@ゲゲゲの鬼太郎)、アルフォンヌ・ルイ・シュタインベック三世(@デビルマン)、ダイス船長(@未来少年コナン)、そして佐渡酒造(@宇宙戦艦ヤマト)。
殺しても死なないようなキャラばかりなのに…。
やはり印象に残っているのは破壊坊主・錯乱坊(チェリー)。
物理法則を無視して湧いて出て来ては、突発性自爆体質で爆発して果てる…。
話の収拾がつかなくなったら、とりあえずチェリー出して爆発させて誤魔化す。実に便利なアイテムでした。
私のお気に入りのエピは、
「うる星やつら/第99回122話・必殺立ち喰いウォーズ」(1984年2月9日放送/伊藤和典脚本、押井守チーフ・ディレクター)
メガネとチビがバイトをしている立ち喰い蕎麦屋に現れた着流しの男。
「かけをもらおうか…」
只者じゃない雰囲気に気圧されるメガネ。その様子を見ていたチェリーが、
「カウンターに対しては真正面を向かず、およそ28度の角度をもって斜めに構え、重心は外側の脚に乗せて他方をリラックスさせる。どんぶりの位置は高からず低からず、麺をすするにつけて胡蝶の舞うが如く胸元を上下する。見事よのう。全く隙が無い。わしには分かる。奴は恐らく…」
「教えてくれ、何者なんだ?」
「あれは…立ち喰いのプロじゃ!」
ここから立ち喰いのプロとは何か、という講釈が始まるのですが、これはとりもなおさず押井守が自らの代弁者としてチェリーを、永井一郎を指名した、という事です。
千葉繁と永井一郎、このふたつの個性無しにTV版「うる星やつら」の成功はなかったでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。