『私はクリスウェル。信じられぬ物語の語り手。非現実の世界を現実以上に再現する。これから話す物語は気絶するほど恐ろしい…』
棺桶から起き上がったおっさん(写真1枚目)が舞台口調で前口上。
おっさん、何でそんなに目が泳いでるんだ。カンペ読んでるのか。
「死霊の盆踊り」(1965年/A.C.スティーブン監督)
最低映画と言えば「プラン9」「ロボットモンスター」そして本作がトップ3かと思いますが、前2者と盆踊りの大きな違いは、“脚本に破綻が無い”という事です。
深夜のドライブなのにいきなりピーカン映像が挿入されたり、突然着ている服が変わったりはしますが、それは演出上の問題であり、「うわあ、一体何がどうなっているんだぁ!」という混乱はありません。
ドライブ中のアベックが事故に遭い、異世界の住人と接して酷い目に遭う、というプロットは後の「ロッキーホラーショー」に継承されています。
問題はその中身がビタ一文面白くない(脚本はエド・ウッド)という事。
そもそもホラーである必然性が皆無。
どこぞのコスプレ好きの金持ちが大枚はたいて各国のストリッパーをかき集め、順番に踊らせている様を屋敷に迷い込んだアベックが窓から覗いている、というシチュエーションで撮っても何の違和感もありません。
要するにトップレスのお姉ちゃんが入れ替わり立ち代り90分近く踊り続ける、ただそれだけの映画です。
どんな踊りがあるかと言うと、
Gold Girl Dance、Hawaiian Dance、Skeleton Dance、Indian Dance、Slave Dance、Street Walker Dance、Cat Dance、Fluff Dance、Mexican Dance、Zombie Dance…(オープニング・クレジットより)
うわあ、この踊り全部観んといかんのかあ…ハードル高いなあ…(と立ち上がりで既にげんなり)。
本作は、“リモコンの早送りボタンをどこまで我慢できるか”というチキンレースとして楽しむのが吉でしょう。
名誉をとるか、1秒でも有意義な人生をとるか(私は5分過ぎた辺りで倍速再生にしました)。