折角、大枚はたいて原作買い付けたのに基本骨子をまるっと無視。
ゾンビ大戦終結から10年後。生き残った各方面の膨大な目撃証言から“あの時、何が起こっていたのか”を検証する「ゾンビ戦争戦後秘話」、が原作の骨子。
複数視点によるドキュメンタリー構成なのですが、まさかこれを“スーパーお父ちゃん頑張る!”な底抜けアクションにしてしまうとは…。
ある意味豪儀です。流石ブラピ。
ブラピは元国連調査員。色々とヤバイ国巡って心身を病んでリタイア。今は、家族(カミさんと娘二人)と一緒にスローライフ満喫中。
カミさん不細工だなぁ。もうちっと見栄えのする人いなかったのか。
娘二人もあんまり。姉は喘息患ってますが、特にサスペンスとしても機能せず。「宇宙戦争」のダコタ・ファニングと比べたら存在感限りなくゼロ。
彼らが車で移動中に異変と遭遇する出だしはかなりいい感じ。
街中の大渋滞。何が起きているのか分からない焦燥。爆煙。迫ってくる“何か”。
とにかくゾンビの数が半端ありません。「スターシップ・トゥルーパーズ」のバグ状態です。
善くも悪しくもここまでの物量でゾンビを描写した作品はちょっと思い当たらないので(それをゾンビと認めるかどうかはさておき)、見応えはあります。
逆に言えば一種の出オチでもあるわけで、ここをピークにお話は使い古されたパターンの順列組み合わせに堕して行くことに。
主役がブラピである必然性はビタ一文無いのですが、何せブラピなので“絶対死なない”感だけは人一倍。
娘はいてもいなくても良く、カミさんに至ってはここぞと言う所でブラピの足を引っ張るのでむしろいない方がいいくらい。
ちょい役のやさぐれCIAエージェントにデヴィッド・モース。ちょっと贅沢ですね。
彼を吹き替えているのが岩本則夫さんなのですが、もう節回しが「とある魔術の禁書目録Ⅱ」のビアージオ=ブゾーニそのまんま。
続編作る気満々な終わり方ですが、やるんなら別の主人公立てて視点変えた方が良いと思います。
エロもグロも無いので、ご家族揃ってお楽しみ頂ける安心設計なゾンビ映画でした。