1期放送終了から2年と10ヶ月。ウルトラ中途半端なタイミング(予告ナレーション曰く“大人の事情”)で始まったシーズン2。
色んな意味で大人になった(なってゆく)主人公たちを生温かく見守りましょう。
「げんしけん2」(2007年10月-12月放送/よしもときんじ監督)
1期終了時にげんしけん3代目会長となった笹原、終了後のOVAでげんしけんに“引き取られた”荻上千佳。
ようやっと主人公に絡むメインヒロインが登場しました。
2期は1期に比べてキャラデザのイケメン度が1割増(TV版が劇場版になった時の“ちょっと劇画調になった顔立ち”を500倍に希釈した感じ)。
これに合わせて行動もややアダルティーに。男女間の交際関係が(もどかしく)進んで、あんな事やこんな事を。
コミフェスに初のサークル参加、同人誌製作の過程で生じる部員間の軋轢、斑目、久我山、田中など4年次の卒業と就職。
皆が各々の将来を手探りで模索し始めます。
やがて笹原も就動を。
アニメで就活をここまで丁寧に扱った作品ってちょっと思いつきません。
大げさにカリカチャイズせず、企業側を悪役にすることもなく、笹原がどん詰まっていく過程がリアルに描かれています。
北米版DVD-BOXは1枚に4話収録の3枚組。ピクチャーディスクで各々の盤面にキャッチコピーのようなものがついています。
1枚目が「FULL CIRCLE」、2枚目が「DRESS FOR SUCCESS」、そして3枚目が
「ANTA BAKA?」
そう、アスカ・ラングレーの決め台詞「あんた、馬鹿ぁ?」です。何と「ANTA BAKA?」は「スキヤキ」「カラオケ」と同じレベルのポピュラーな日本語になってしまったのでしょうか?
因みにこの台詞は第10話「オタク・フロムUSA」に登場するスザンナ・ホプキンス(愛称スー。シーズン3である「げんしけん2代目」から本格的大活躍)のもの。
帰国子女である大野(4代目会長)のアメリカ留学時代の友人で日本語は全く話せないくせに、時と場所を選ばずアニメの決め台詞を叫びまくる貧乳・金髪のオタク娘。
コミフェスに並んでいる時に「人がゴミのようだ!」など、まだこの頃はネタが一般的。
エピ的に面白いのは田中と大野が互いの想いを確認する第4話「デキテンデスカ?」と、荻上の腐女子妄想が炸裂する第5話「マダラメ総ウケ」…かな。
こういうきちんと時間が流れ、登場人物が成長していく(取り巻く環境が変化していく)話ってなかなか無いので、ついキャラを見る目が優しくなってしまいます。
ふぞろいの林檎たちオタク版って感じでしょうか。