『武士に武士道があるように、野良犬にもささやかながら心がござる』
寡黙な男の生き様劇場・支配人、降旗康男。
骨太群像全集・編集者、中島貞夫。
そして肉体言語博物館・館長、千葉真一。
混ぜるな危険の三人が起こした化学反応をご覧あれ。
「将軍家光の乱心 激突」(1989年/降旗康男監督)
家光の次男・徳松に対する歪んだ愛情のため、その命を狙われる事になった長男・竹千代。
老中阿部重次(松方弘樹)の命により竹千代暗殺の指揮をとる伊庭庄左衛門(千葉真一)率いる根来軍団。
迎え撃つ堀田正盛(丹波哲郎)と腕に覚えある素浪人7名。頭を張るのは幕府の理不尽故武士を捨てた男、石河刑部(緒方拳)。
竹千代元服の儀のため、湯治先から江戸城へ。行く手は罠・罠・罠の地雷原。
ひたすら圧倒的な幕府の軍勢の前に山中に追いつめられる一行。進むか、退く(逃げる)か。その判断を幼い竹千代に託す刑部。
『江戸へ行って父上と対決するのなら、川を下れ。逃げて生き延びるなら、川を上れ』
黙って川を下る竹千代。野良犬たちの心も決まった。
中島貞夫と松田政夫の脚本を、降旗康男がストイックに演出し、アクション監督千葉真一がド派手に彩色。
もう全編“ファイト!一発!”。
滝を登り、崖を飛び、馬転び、橋落ち、人燃え、家大爆発。
かつて家光に妻を奪われた過去を持つ刑部。影のある、しかし優しさ溢れる剣豪を緒方拳がかっちょ良く演じています。
『走れ! ただ真っ直ぐに、走れぇ!』
音楽は佐藤勝。テーマ曲はTHE ALFEE(これが意外やいい感じなんだ)。
DVD廃盤。中古が1万弱。BD出して。駄目ならDVD再販して。