『それでも取れなかったら、どうすればいい? 誰か俺より上手い奴がいて、どうしても拾えなかったら…』
『そがん時わな…どうぞお先に。譲ってやってもっと太か餅ば狙え』
台詞ひとつひとつが狙って配置されているのは百も承知ですが、それでも響く、癒される。
「ばらかもん/第1-3話」(毎週土曜深夜日本テレビ放送/橘正紀監督)
『まだ若いのに型に嵌った字を書くね。君は、平凡という壁を乗り越えようとしたか?』
書道界の新鋭、半田清舟はとある受賞パーティ会場で、業界の重鎮の言葉にキレて暴力事件を。
幸い刑事事件にはならなかったものの家元である父親の「頭、冷やして来い」の一言で単身、五島へ。
『基本に忠実に書いて何が悪い? 基本こそが一番美しいに決まっている。俺は悪くない』
無事島に着いたものの、方言分からず、借りた家は無人のはずなのに何故か生活感満ち溢れ…。
壁には力道山、ジャイアント馬場のポスター、エアロスミス「ROCKS」のCD。ちょっとツボ(笑)。
この家を“基地”として使用していた幼女・琴石なるが半田の最初の友達に。
『凄かねえ、先生の字。上手かねえ。学校の先生が書いた字みたいじゃもん』
『…!!』
なるに島を案内してもらう半田。
『先生、よかもんば見せてやんよ』
夕陽を見せるために防波堤をよじ登るなる。躊躇する半田に
『この壁乗り越えんば何も見えんぞ!』
島民総出で荷解きの手伝い。嬉しくても悲しくても号泣する小学生・ひな。腐女子な中学生・珠子、その友人・美和。平凡でありすぎる事に悩む高校生・ヒロ。半田に食事を作ることを残り母性の糧とするヒロの母。
幼女から老婆まで、キャラ立ち満開。新たな気持ちで筆をふるう半田。
しかし、乾坤一擲の1枚は準賞(2位)。1位を獲ったのは18歳の高校生。
『本当に悔しいんだ。俺から書道をとったら何もないから…1番じゃないと駄目なんだ』
才能の形、努力の意味、自分の居場所。
深夜枠に追いやるのはちと勿体無い。ゴールデンで十分通用する内容だと思います。