「イタリアではボルジア家統治下の30年間、戦争や恐怖や殺人や流血があったが、ミケランジェロやダ・ヴィンチや文芸復興を生んだ。スイスには同胞愛があった。500年に渡る平和と民主主義を保ったが奴らが何を生み出した? 鳩時計だけじゃないか」
実写版パトレイバーでちょいと横道に逸れましたが、お話戻して、“ちょいとお気に入りの台詞”の続きを。
「第三の男」(1949年/キャロル・リード監督)
御存じ、ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の名台詞。
字幕だと簡略化されてしまう事が多いですが、原文は以下です。
In Italy, forthirty years under the Borgias,
They had warfare, terror,murder, bloodshed,
But they produced Michaelangelo- Leonardo Da Vinci, and the Renaissance...
In Switzerland,they had brotherly love.
They had five hundredyears of democracy and peace,
and what did theyproduce?...The cuckoo clock.
この台詞はハリーが己の悪行を正当化するための屁理屈なので、内容には問題が多々あります(ボルチア家の悪政とルネッサンスの間には何の因果関係も無い)。
が、ピカレスクな雰囲気に溢れた魅力ある台詞です。
で、ここで気になるのが「ボルジア家」。
ボルジア家は15・16世紀にイタリアで反映した貴族の家系。ハリーが言っている30年というのは、恐らくアレキサンデル6世が教皇に即位し、息子チェーザレと共に暗躍の限りを尽くした30年間を指しているものと思われます。
ボルジア家独自の毒薬カンタレラを使って、邪魔者は毒殺、毒殺、また毒殺(財産は教皇庁がすべて没収)。
美人の娘ルクレツィアを使って政略結婚、相手が不要になれば毒殺。
サンタンジェロ城の地下牢でも毎日惨殺(勿論、財産は教皇庁が没収)。
最期には、資産家というだけで適当な罪をかぶせて告訴し、投獄し、処刑し、(財産を)没収するという黄金の方程式を確立…。
いや、凄い。一族の顛末はテレビシリーズ「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」で詳しく語られている…らしい(何と3期まである!)。
※一気に知りたい事はこちらのサイトが分かりやすいかも。
本作は、後にドイツのバレエ学校で魔女になるアリダ・ヴァリの若い時が観られる、という個人的に美味しい映画でもあります。
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