『痛くない! 熱くない!
怖くない! 辛くない!
負けるもんか! 負けるもんか!
あんな事、二度と起こさせない…
もっと強くなるんだ!』
成長する少年少女を見守るのは良いものです。
「SOUL★EATER[ソウルイーター北米版BD-BOX]」(2008年4月~2009年3月放送/五十嵐卓也監督)
最近は標準が1クール12話構成で、たまに2クール24話になると「おお、気合入ってんな!」って感じなのに本作は4クール51話。大河ドラマです。
更に! 北米版はBD6枚に全51話(+レイトショー51話)を詰め込んだ挙句、これを通常のBDケースにアーカイブコンテナの如く格納して4,500円を切るという仰天仕様(1話約85円!)。
“武器”と“職人”を育成する死神武器職人専門学校、通称:死武専。
職人は分かるが、武器を育成ってなんじゃらほい?
武器に変化する能力を持った人間がいるんですね。
武器と職人二人(職人一人に武器数人というケースも)で一組。その目的は鬼神の卵と化した魂99個と魔女の魂1個を武器が食べることによって、死神様の武器“デスサイズ”を作り出す事。
と、文字で書くと「はい?」ですが、要するに、武器と職人が様々な試練を経てバージョンアップしていくというアドベンチャー・ゲームの王道フォーマットです。
放送時は主人公マカ(↑)の声をアテた小見川さんが「棒読みだ」と非難されておりましたが、幸か不幸か私は「生徒会役員共」「それでも町は廻っている」さらに「ひだまりスケッチ☆☆☆」を先に観て小見川ファンになっていたので違和感ゼロ。
むしろ最初はブラック☆スター(↓)の「ヒャッハー!」なキャラ設定(常に目立つことが優先順位1番なので、大見栄切っている間にチャンスを逃してしまう)に辟易しておりましたが、話が進むに従って、それも自らを追い詰めるための俺様ルールである事が分かり妥協しない性格に愛着が。
何でもシンメトリーになっていないと平常心を保てないデス・ザ・キッド(↑)の特殊な潔癖症はご愛嬌(実は一番冷静)。
各々のパートナー(武器)であるソウル、椿、トンプソン姉妹は、メンタル駄目駄目な職人を鼓舞し、叱り、あやす保護者のようです。
という7人がメインキャラなのですが、本編で主役を喰う存在感を示したのが話の本筋には全く絡まない超脇役エクスカリバー。
そう、ブアマン監督の映画でも有名な“聖なる剣”。
洞窟の奥に突き立てられたその聖剣を引き抜いた職人は最強の力を得る事が出来る。
剣は誰でも簡単に引き抜くことが出来ます。試練はその後。
どう見ても性格破綻者なエクスカリバーと付き合う、それこそが試練。
自分で話を振っておきながら、相手が応えようとすると「バカめ!」と遮り、全然別の話をする、というパターンを延々リフレイン。1,000を超えるルールを強制(その中には毎日5時間に及ぶ朗読会への出席義務が)。
結局、誰も彼と付き合う事が出来ず、今もエクスカリバーは洞窟の奥で眠っている(しかし、クライマックスには呼ばれもせんのに勝手に駆けつけ、「バカめ!」を連発するのであった…)。
因みに“中の人”は子安武人氏。もうこういう役やらせると水を得た魚ですね。