2009年1月26日に東宝が“発売中止”を宣言(しかも、今後販売の予定無しという但し書き付き)して丸6年。遂にBDが陽の目を見る日がやってきました。
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」
(1984年/押井守監督)
監督のコメンタリーがあれば最高でしたが、それは贅沢と言うもの。商品化されただけで好しとしましょう。
BDと言っても古き良きセル画アニメ。昨今のデジタルアニメのような驚異の高画質にはなりません。
とは言え、「風の谷のナウシカ」(北米版)のようなフィルム・グレイン乗りまくり立ちまくり画質ではなく、「耳をすませば」(北米版)のような“背景が書き割りにしか見えない”アンバランス画質でもありません。
まあ、何と言うか“とても状態の良い”DVDって感じです(苦笑)。
評価ポイントは音声が“修復版リニアPCMモノラル”、更にこの修復版をベースにした“リミックス版5.1ch”になっている事でしょうか(ジブリの100倍良心的)。
正直、そんなに5.1ch効果が発揮されているとは言えませんが、レオパルドの重量感みたいなものは出ていたと思います。
いやしかし、何度観ても面白い。
いつ始まったのか分からない、学園祭前日という同じ一日の同じドタバタ。最初に気付いたのは温泉マーク。そしてサクラ。
『カメを助けたのが太郎一人でなく、村人全員だったら…。村人全員が、竜宮城へ行ったのだとしたら、どうだったでしょうねえ…』
『築60年、木造モルタル三階建の時計塔校舎、いつから四階建になったのかの』
『立ち喰い蕎麦屋マッハ軒。実は面堂家友引地区パニックセンター。あそこには、緊急脱出用のハリヤーがあります』
『だがあの夜、ハリヤーのコックピットから目撃したあの衝撃の光景が、私の運命を大きく変えてしまったのだ。ハリヤーで、あたるの家に強行着陸したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとく、その装いを変えてしまったのだ』
『日常生活に不都合がないという点を除けば、イヤ、日常生活に不都合をなくすために、この世界は実にいい加減に、ほとんど言語道断といってよいほどデタラメにできている。こんな世界は物理的にありえん。もし、ありえるとすれば…』
『夢の中だけ…か?』
日常のドタバタから始まり、その日常が綻び、その綻びを推理し、その推理を景気良くフライングした世界が現れ、その世界を叩き壊して現実に帰還する…見事としか言いようがありません。
東宝さん、発売ありがとうございました。