マカロニのイメージを“残酷”で括るなら、アメリカ西部劇のそれは“詩情”。
ブームが過ぎ去って誰も西部劇を観なくなった70年代半ば。
“アメリカ建国200年記念”の年に復活した西部劇は“もはや牧歌的な時代には戻れない”ささくれだった手触りに変貌していました。
「大いなる決闘」
(1976年/アンドリュー・Ⅴ・マクラグレン監督)
時すでに20世紀。
車が走り、電話が鳴り、軍は飛行機を導入。もはや『西部の男』に居場所無し。
やることはやった。保安官を引退し、娘と余生を過ごしているサム・バーケイド(チャールトン・ヘストン)に届いたバッド・ニュース。
かつて彼が逮捕したナバホ・インディアンと白人の混血児プロヴォ(ジェームズ・コバーン)が野外作業中に看守を殺して集団脱走。
奴は来る。ここに。必ず。復讐のために。
プロヴォはサムの娘スーザン(バーバラ・ハーシー)を誘拐。サムの相棒はスーザンの恋人ハル(クリストファー・ミッチャム)。
お話の骨子はシンプル過ぎて何のひねりも無いのですが、描写がやたらえげつない。
なんせ最大の見せ場が父の眼前で娘輪姦という「AVかよ!」なバイオレンス。
坂を逃げ下りるバーバラと追いかけるコバーンの下卑た手下2人を望遠スロー。画だけ観ていると「大草原の小さな家」。
怒った親父は火薬を撒いて野焼き攻め。手下は燃やす、ライフルストックで滅多打ち(撃ちではない)。爽快感が彼岸の彼方。
そして迎えた最終決戦。
肉を斬らせて骨を断つ。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
今回は吹替版で鑑賞。チャールトン・ヘストンは納谷悟朗。ジェームズ・コバーンは小林清志。銭形vs次元です(笑)。
クリストファー・ミッチャムが大林隆介なのですが、この人、「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」のモーション・コミックでガニマール警部を演っています。
バーバラ・ハーシーは田島令子。正に最強の布陣、最強吹替版でした。