『俺、映画でこういうの見たことある。ラバウルなんとかとか零戦なんとか一家とか。女の子がひとりもいなくて、整備兵は皆やくざで酒飲んで博打やって、飯盒炊爨やって殴り合いで友情する恥ずかしい奴…』
『そりゃ軍隊の話だろうが』
『階級があって鉄砲持ってて、どこが違うんだよ?』
はい、その零戦なんとか一家です。
「零戦黒雲一家」
(1962年/舛田利雄監督)
南太平洋ソロモン諸島のひとつ、バルテ島。そこは問題児やら生きた英霊やらの掃き溜め。文字通りの“島流し”に遭った愚連隊の吹き溜まり。
現指揮官は、上官暴行罪で少尉から上等飛行兵曹に下げられた八雲(二谷英明)
ガダルカナル撤退、山本長官戦死、敗戦濃厚な1943年夏。バルテ島分遺航空隊隊長として谷村雁海軍飛行中尉(石原裕次郎)が、ラバウルから単身零戦で赴任。
対空機関銃の一斉射撃という手厚い歓待を「出迎えご苦労」の一言で笑い飛ばした谷村は無法地帯の統率に乗り出しますが…。
「隊長なんかいらない!」と言っていた連中が最後には「(死ねという)命令なんかいらない。(言われなくとも)俺たちは全員あんたと死ぬ覚悟だ!」
舛田監督は、東映で「二百三高地」「大日本帝国」「日本海大海戦 海ゆかば」の三部作を、更に東宝で「零戦燃ゆ」といういささか辛気臭い戦争映画を撮っていますが、日活で裕次郎となると作風ががらりと変わるから不思議です。
ギャグ協力:永六輔って…
エンディングも悲壮感と言うよりはファンタジーな雰囲気が…。
さて、舛田監督と言えば、避けては通れないカルト映画が1本。
国内ソフト化絶対不可能と言われているこの作品については明日。