
廃墟ビルと思しき一室でエロ本を読みふける少年たち。
窓ガラスを蹴り割って突入してくる機動部隊。瞬く間に制圧される少年ら。

エロ本はその場で焚書。少年の首に嵌められた銀の輪には「わいせつ」のサイン。
『禁止単語発声の罪についてはレベルに応じた強制労働が待っている。連行しろ!』

ここだけで活字文化を否定した「華氏451」、感情抑制剤を義務付けて芸術の全てを否定した「リベリオン」、金属バンドで人間を管理した「ダロス」、条件指定で首輪が作動する「バトルロワイアル」のエッセンスが。
管理と抑圧、覚醒と解放はデストピアSF永遠のテーマ。問題はその表現方法ですが。
「下ネタという概念が存在しない退屈な世界/公序良俗は誰が為に」(2015年7月7日深夜BS11放送/鈴木洋平監督)
「公序良俗健全育成法」成立により、日本から性的な言葉が喪われて数十年。青少年はHの仕方はもとより、卑猥の概念すらスカッと忘れるほど健全に育っておりました。
そこに現れた下ネタテロリスト≪雪原の青≫。
パンティで顔を隠し、卑猥な言葉とエロ写真をまき散らす謎の女。

主人公、奥間狸吉(おくま たぬきち)は、高校の入学式当日、駅で痴漢の濡れ衣をかけられますが、突如現れた≪雪原の青≫の機転で無事逃走に成功。
時岡学園高等についた狸吉を待っていたのは生徒会からの役員勧誘。そこには憧れの君、生徒会長、アンナ・錦ノ宮(あんな にしきのみや)が。

あれやこれやと絡め取られた狸吉は泣く泣くSOXのメンバーに。

この勢いで完走すれば神ですが、息切れ・中だるみといったテクニカルな問題以外に“いつ放送中止になってもおかしくない”という体内自爆装置も抱えているので、いやがうえにも緊張が高まります。

どこかで見た事のある顔立ちなのがまた…(レールガンの木原先生と布束砥信を足しっぱにした感じ。3人とも白衣着用が共通点)。

表現規制という笑うに笑えないテーマは、先般ご紹介した「おくさまが生徒会長」地上波版の意趣返しのようにも見えます。
本作もP音・目隠し入りまくりですが、存在そのものがテロみたいなものだからなあ。
挑戦か。玉砕か。案外、作り手は両面待ちなのかもしれません。